それいけ高齢ネコ

あれから半年と少し。

「高い猫缶、好きなだけ食べていいから」 そう伝える私の目を、彼は真剣に見つめ返した。 昨年の、いよいよ酷暑が始まらんとする7月のある日のことだった。 あれから半年と少し。 彼が食べた高級猫缶は、200缶を優に超えた。 今日もまた、猫缶が供されるのを…

信心深いネコ、我が家で3度目の秋を迎える。

老猫、ソル。 目下、我が家で余生を送っている。 彼が実家の飼い猫になったのは15年前。その頃、実家の祖父はまだ健在だった。 祖父が他界するまでの約1年、同じ屋根の下で共に暮らしていた。 その7年前に話し相手の祖母を亡くしてから、祖父の日常は判で押…

オス猫はこのニオイを本当はどう思っているのか。

ヨレヨレの体にたくさんの病気を抱えながら、秋に向かってますます食欲旺盛な老猫、ソル。箱入りジイサン。15才。 何事もなかったかのようにシレッと生活しているが、余命宣告された日から2ヶ月以上が過ぎている。 時にしおしおと、時にガツガツと。明日は明…

老猫、粘る。

おそらくあと数日、1番頑張れても余命1ヶ月でしょうという診察を受けたあの日から、今日で1ヶ月と10日あまり。 相変わらず、ヨダレを垂らして気持ちよさそうに寝ているか 網戸にとまった虫の観察か 猫缶が欲しいと頼んでいるか おかげさまで小康状態を保って…

覚醒時間はオス猫の世話をしている。

昼間、中途半端にまとまった居眠りをしてしまうと、目が覚めてからしばらくの間は廃人のようになってしまい、人間に戻るのに時間がかかる。 若い頃からもともと「眠りたい」欲が人よりかなり強い。生まれついてのナマケモノだ。 しかし最近は、あらゆる欲求…

老猫の仕事

雌の老猫は働いている。 そう言ってしまっても良いかもしれない。 日に1回、休みの日には多くて3回、1日の中で考えたらごく短い時間ではある。 短い時間であるが、主人の腕の中に有無を言わさず入れられている。 腕の中にいる時は、仕事だと割り切っているフ…

転がる空き缶と充電式のような老猫

救急に連れて行く可能性のある老猫のため、1日の終わりをアルコールではなく冷たいお茶で締めている。 少しずつ慣れてきて、もはや近くで冷えた生ビールでも飲まれない限りは我慢できるのではないかという程、心に余裕が生まれつつある。 ただ。 自分が飲ん…

オス猫もヘアブラシ仲間になる。

数年前のこと。当時JKだった姪っ子が「髪の毛がツヤッツヤのツルッツルになるんだよ!」と、興奮気味に教えてくれたヘアブラシ、タングルティーザー。【公式 】タングルティーザー 正規品 魔法のブラシ ヘアブラシ TANGLE TEEZER ザ・オリジナル ノーマル ヘ…

老猫が罹った"肥大型心筋症"という心臓病のこと。

ソル(オス猫15才)が「肥大型心筋症」と診断されてから、初めて知るこの病名を検索すればするほど、なんてこった…という気持ちは増す一方である。 長年、獣医師をしているような先生ですら、この病気の最期は辛過ぎて泣いてしまうとか書いてあるし…。 進行…

老猫と共に、なぜか見守られる私。

老猫ソルは、これまで何度も重体と言って良い状態から復活しているけれど、さすがに今回の復活は、日頃はソルとあっさりとした付き合いをしている主人も目を丸くした。 丸2日近く、ほとんど飲まず食わずでグッタリ動かなかったのだから無理もない。 「2本足…

ウナヒコに比べたらなんでもない。

もしも私と同じくらい庶民で、似たような金銭感覚を持つ友人たちに我が家の家計を赤裸々に打ち明けたら、きっと全員、その場で石化してしまうだろう。 2匹の老猫と暮らすために、我が家が月々いくら支出しているか。 ショックでお茶をこぼしてしまう子が続出…

ルナのその後。ソルの何度目かの復帰。

7月15日。先週の土曜日。 ルナ(メス猫15才)の膀胱結石が見つかってからちょうど1週間が経った。 1週間のあいだ、朝晩1錠ずつ飲ませていた"ウロアクト"の効き目を確認するため動物病院に行った。 ウロアクトは、数多ある結石用の療法食のどれを試しても下痢…

老猫はその時、ちゃんと話を聞いていたのかもしれない。

お話を聞くときは相手の目を見て、真剣な顔つきができる老猫ソル(15才)。その姿は、保育園でイタズラをして怒られる時の男の子たちととてもよく似ている、と思っていた。 こちらをマジマジと見ているけれど、頭の中ではまったく別のことを考えている、もし…

できる範囲でかまわないからと、さだまさしも言っていたから。

怯えた顔をして、重い病を抱えて我が家に来てから1年半。 次から次に襲いかかる新たな病を、そのたびにスレスレでかわして逃げ切り、生き延びてきたソル(オス猫15才)。 逃げ切るたびに世話は大変になり、愛着はどんどん深まった。 でもとうとう、本格的な…

高い猫缶ばっかり食べちゃって。

ルナ(メス猫15才)の右の前脚が少し痛そうなのが気になって病院に連れて行こうと思った矢先、彼女が起き上がった後の床を見たら水たまりができていた。 しれっと食事を始めた彼女の元へ行くと、毛が濡れている。 15年間一緒に暮らしていて初めてのお漏らし…

オスとメスはやっぱり違うと思うこの頃の話

少し前から右の前脚が痛むようで、びっこをひくようになったルナ(雌猫15才)。 ああ痛そうだなと思って見ていると、目が合う。 目が合うと、 「なに?いつもどおりなんだけど?フツーに歩いてるけど?見るのやめてくれる?フン!」 と、その瞬間からシャキ…

夏の風物詩、我が家も脚が上がりました。

犬猫を飼っているお宅では、暑い夏の風物詩ではないでしょうか。暑くなり、床に転がって惰眠をむさぼる我が家の老猫たちの両脚も、高々と上にあがるようになりました。 本格的な夏ももうすぐそこです。15才のオス猫ソルは、我が家に来てから2度目の夏。昨年…

明け方に飼育員のような気分になりながら、介護の大変さを思う。

この1週間ずっと気持ちが奮わなかったのは、梅雨の天気のせいかもしれないし、思いがけないところから予想もできない敵意を向けられて、それを体力気力が落ちていたためにうまく避けられず、うかつにも真正面から受け止めてしまったせいかもしれない。けれど…

我が家の最上位に君臨する老猫の話。

とうとう6月。誕生月まで漕ぎ着けた。漕ぎ着けた、と言っても本人の意図ではないけれど。生き物としての彼の力、それに現代医療、クスリの力が加わった結果である。ダンディーな15才にはなれないだろうという周囲の予想を覆し、異例の復活劇を今なお続けてい…

やっぱり猫は怪しいという話。

魅惑の香りがするネコ缶を食べたい一心で、死の淵から這い上がった老猫ソルは、この半月で2.6キロから3.2キロにまで増量したことが判明した。 抗生剤のおかげで膀胱炎も治まったようである。 先生は、診察台の上にいる馴染みの古株患者を見つめ、 「うん、い…

老猫と比べたらいけないけれど、実際似ているのだった。

家に着き、玄関に向かうアプローチを歩いていると、騒々しい足音が向かってくるのが聞こえる。 ドタドタドタと、男の子のような。 猫ってさ、そんなに音を立てて歩かないものだと思っていたよ。 実際、15年間いっしょに暮らしてきたルナの足音なんて聞いたこ…

しつこく続く老猫の話

閉院の30分前に、ギリギリで動物病院に駆け込んだ。 この時期は狂犬病のワクチン接種の時期と重なるので、いつもはイキの良い元気なワンちゃんでごった返しているのだが、珍しくネコ率が高かった。 ネコの場合は元気であってもなくても、ケージの中にいるの…

ジイサン猫に捧げた黄金週間

今朝は一転して調子が悪いソル。朝から吐き、食欲も昨日ほどではない。 そうなると勝手な私は、 「昨日の食欲はどうしたんだよ」 と心配で仕方がなくなる。 ハラヘッタと一日中後をついてまわり、帰宅したら必ず玄関まで来てナオナオと訴える日常にはヤレヤ…

今日も腹を空かせている老猫。

老猫のごはん代が多少高くついても、平和ならそれで良い…そう思うことにした。 老猫とゴールデンウィーク - onoesanと猫と保育となんやかんや。 でも。 せめて卵を産むくらいはしてくれないだろうか。 そう思わずにはいられない。 とうとう一個300円を超える…

老猫とゴールデンウィーク

黄金週間。 我が家は介護ネコがいるため予定がひとつもない。 「高級猫缶を食べたい」 その気持ちだけで息を吹き返した老猫は、猫缶のことを考えているのだろうか、今日もまた、キラキラとした目で拝んでくる。 昨日は、子猫の頃に好きだったカリカリと、ラ…

食は、ネコにも天なり。

まもなく立夏を迎えるこの時期、一年の中で最も心地良い、爽やかな季節だ。 彼が昨年の夏に猫コロナに感染して生死を彷徨っていた頃は、それはひどい暑さだった。 だから正直言って今回、急性膵炎でいよいよ明日をも知れない命となったことを知った時、悲し…

立ち上がった老ネコ。

風の強い土曜日、黄金週間の初日である。 強風にさらわれそうな洗濯物と共にベランダに転がるバアサン猫、ルナ。 幸い彼女は見た目よりもずっと重いから、洗濯バサミで吊る下げなくても飛ばされない。 彼女のこうして寝転がる姿は、幼い頃に大切にしていた汚…

老猫が退院してきた。

12才まで、健康優良猫として堂々と生きて来たソル。 慢性腸症と繊維反応性腸症という難病に突然襲いかかられて、慣れ親しんだ家から遠く我が家にやって来た。 14年ぶりに、再び私たちの家族になってもうすぐ1年半が経つ。 あと1ヶ月と少しで15才だ。 一、そ…

今年もソル活が始まった。

年が明けてからこのかた、去年と比べたら圧倒的な平穏を保っていたソル。もうすぐ15才の春である。体重は減り続け、今はもうガリガリを超えてペロンペロンだ。 こんなにペラペラなのに、食べることしか楽しみはないだろうに、食べられるものは持病のせいで繊…

猫のゴロゴロ。

猫がソファーの上に寝そべりゴロゴロと喉を鳴らしているのを見つけると、心の底から幸せな気持ちになる。 今やすっかり聴き慣れたこの音は、この15年間、心の安寧を保つことに大きく貢献してくれている。 猫を飼い始めるまでは、かろうじて触ったことがある…