五、膀胱炎…からの膀胱結石。

低空飛行ながらも順調に数日間が経ったある日のこと、心なしかソルのトイレのおしっこの塊がうっすらピンク色に見えた。

紙製の猫砂には時折、色が混じることもあるし、光の加減もあるし…と、ここは何としても「気のせい」ということにしておきたかった。老眼だしね、と。

今ここで別の病気を併発するのは勘弁してもらいたかった。

実際、最初に見つけた時は気のせいということにして黙認した。

が、2度目はうっすらピンクではなく、完全に赤、もう気のせいには出来ないところへもってして、ムスコが見つけてとどめを刺した。

病院で採尿してもらったところ膀胱炎とのこと。膀胱のエコー写真には、見たくなかった存在感のあるデカい石がはっきりパッチリと写っていた。結石だ。

コレが見えてしまったら一過性の膀胱炎では済まされない。

まずは療法食で溶けるタイプの石か試してみることになった。先生の見立てでは、年から言っても写真の雰囲気からしても、おそらく溶けないタイプではないかとのこと。

若い猫はクスリで溶けるストルバイト結石、年を取ってくると溶けないシュウ酸カルシウム結石になる傾向があるそうだ。

…。…しかし困った…。

…。療法食…。

 

今ソルの下痢は、腸内バイオームにステロイド、それからベリチームに加えて、胃腸薬でもって何とかかんとか、ギリギリの状態に抑え込んでいるところだ。

そこに結石を溶かす作用のあるゴハンを試す余裕はまったくない。

加えて、今の下痢の改善に効果を発揮してくれているステロイドは、長く服用すると感染防御機能を落としてしまう。膀胱炎になってしまったからには、できるだけ早く服用をやめなければならない。

それによしんば結石が溶けてくれたとしても、再発リスクを考えたら療法食は続けていかなければならない。

 

とにかく、両立が大変難しい2種類の病気に罹ってしまったことになる。

先生も頭を抱えてしまう状況になってしまったが、結局、当面の間は結石の療法食と腸内バイオームを併用し、ステロイドは少しずつ量を減らしてフェイドアウトを狙ってみることになった。

果たしてうまくいくんだろうか。

ウチに来てから数ヶ月、ようやく落ち着いたかと思うと必ずまた何かが起きる、その繰り返しだった。