結石を溶かすためのおクスリごはんとして勧められたのはロイヤルカナンの「ユリナリーS/O エイジング7++CLT」 だった。
腸内バイオームより粒が大きく色も明るい。
腸内バイオームがぬれ煎餅だとしたら、こちらは薄焼き煎餅でサクサク食感といった感じだ。
薄いからか、パリパリと良い音をさせながら美味しそうに食べる。
どうやらかなり気に入ったらしい。
腸内バイオームに少量のユリナリーS/Oを混ぜると、麻薬捜査犬のような真剣さで臭いを嗅いでユリナリーS/Oを拾い食いし、たまに間違って腸内バイオームの方が口に入ると、それは人相の悪い顔つきで、ケッ!ペッッ!と口から器用に吐き出す。
真剣に腸内バイオームを吐き出し続けた結果、案の定またひどい下痢便に逆戻りしてしまった。
ですよね。
さてどうしよう。
さてどうしようと考える日々。
1番初めに思いついたのは、ふりかけ作戦だ。
腸内バイオームの上に、トンカチで叩いて粉砕したユリナリーS/Oの粉をかける。
かなりの量をふりかけたにもかかわらず、この方法は玉砕した。においを嗅いだのち、フンッという声が聞こえそうなくらいふてぶてしい表情で去っていってしまった。
吸着が足りなかったかと、軽く霧吹きで水をかけたが結果は変わらなかった。
王道で、今度は腸内バイオームにちゅーるを載せることもしてみた。
するとちゅーるだけを舐めてしまうことがわかったので更にしっかり混ぜてみた。が、混ぜるのは邪道と考えているらしく、もう食べない。
バイオームをササミの茹で汁に浸してみた。食べない。
猫が好きだという40度手前まで温めてみた。食べない…。
手に乗せて少しずつ。食べない…。
だしパックの中に鰹節、またたびを詰めたものを腸内バイオームの袋に入れた。
腸内バイオーム・カツオ節風味と腸内バイオーム・またたびの香り付き、腸内バイオーム・カツオ節とマタタビMIXの3種をご用意、提供してみた。はい、全部却下。
あーどうしよう、と考える日々の中でアイデアが浮かぶのは大抵お風呂に入ってる時だ。
ふと思いついたのはロイヤルカナンの消化器サポート。あげたこともないのに急に閃いた。あげたこともないのに何故か閃いたってことは天啓かもしれない…そう都合よく考えたらもう居ても立っても居られず、本来は先生に確認するべきところをすっ飛ばしてペット用品店で買ってきてしまった。
消化器サポートは2種類あり、繊維バランス構成が異なる。便秘気味の子におすすめな可燃性繊維ではないノーマルタイプの方を購入した。
消化に良いならば大きな問題にはならないはずだし、ひょっとしたらコレで劇的に改善するかもしれない、そしたら先生になんて言おうか。頭の中には既に先生からヒーローインタビューを受けている自分がいる。はやる気持ちを抑えて腸内バイオームに少し混ぜて皿に盛ってソルの前に置く。
パリパリ煎餅食感のユリナリーと同じく、やはりコレだけを食べようとする。しかしこちらは腸内バイオームより粒が小さいので、コレだけを狙って口に入れることが難しい様子。入れるのが難しいだけあって、一度入ってしまったらコレだけ食べてバイオームをケッ!ペッ!と出せず、やむなく一緒に飲み込んでいる。
かなり不本意そうな顔をしているが、嗜好性が高いと記載があるとおり、どうやら消化器サポートを食べたい気持ちがバイオームを食べたくない気持ちに勝ったらしい。
ここでようやくバイオームを多少胃の中に送り込むことに成功する。
しかしながらこれはヒーローインタビューを受けるにはほど遠い、中途半端な成功だった。
なぜなら下痢は全然良くならなかった。おそらく新たに加えた消化器サポートはサポーターとしての役割をソルの胃腸では発揮できず、新たな侵入者として警戒されてしまったのだろう。
結局、さまざまな工夫も空しく、週に一度、病院で葉酸とビタミンの注射をしてもらうことでかろうじて調子を取り戻すという日々だった。
ちなみに、なぜ葉酸とビタミンのようなポピュラーな栄養分で調子をある程度取り戻せるのかは、なんででしょうね?と先生も苦笑いなのだった。