八、床を拭く日々。

慢性腸症と膀胱結石という2つの病気を抱えなが、薬をこれ以上増やすこともできず、見守るしかないままに日は過ぎていった。

下痢はお互いにつらい。

猫砂は買っても買ってもすぐに無くなる。

スコップは毎回拭かなければならない。

トイレでしてくれたらそれだけで御の字という悪化ぶりだ。

この子から普通便が出る日が来ることが想像できない。リビングのソファーでお腹に乗せ、その温かみでうつらうつらする日がもう来ないなんて切なすぎる。

そんな状態なのに、やっぱり腸内バイオームは全然食べない。

先生に相談すると、ヒルズの消化ケアi/dと消化・体重・糖尿病の管理w/dの2種類の療法食の試供品を、もうどっちをあげてみても良いですよ、と出してくれた。腸内バイオームにはかなわないが、どちらにも多少は腸に良い同じ成分が入ってるとのこと。

しかし、帰宅して早速試してみたものの、どちらもかえってひどい下痢に拍車がかかってしまった。慣れないフードだったこともあってか、まったく良くならない。

トイレットペーパーとボロ布、ウタマロにマイペットに重曹の使用頻度は相当激しく、床の拭き漏れがないか、忍びのような足取りで慎重に歩くのが常になった。

1週間が経ち、再度病院で窮状を訴えると、先生の目から見ても明らかに生気がないということで、半日預かって様子を見てみたいと言ってくれた。

夕方病院に迎えに行くと、ちょうど私が着いたタイミングで下痢便が出た。

15000円かかりますが、この便で10種類くらいの病気の検査が出来ますがどうします?と聞かれる。

正直、検査を受けたところで治ることが保証されるわけではまったくなく、あくまで治す手がかりが見つかるかもしれませんね、という話だ。

今のところ、下痢に関しては「慢性腸症」という状態であり、この状態を引き起こしている原因がわからず、そして慢性腸症の状態は治すのがとても難しいと言われている。

これまでの半年間、月々のソルにまつわる出費はならして約5、6万円。労力の方は、ルナの10倍以上。実際のところツラい、の一言。泣きそう。

でもこのソルという猫は、何だかんだで強運の持ち主(のような気がする)。

ここで便を出したということはもう運命だと思い、お財布は泣きそう、私も泣きそうになりながらも検査をお願いする。

半日預かってもらって今日はラクだったと思っていたら、帰りの車中でビシャッとやられてしまった。それだけは勘弁してと必死で脱走を図る下痢便まみれの老猫を、そうはさせじと帰宅後すぐにシャワーしたのだった。

猫の紙オムツがあるのは前から知っていた。いよいよ買う時なのか。先生に相談してからとも思ったが、いずれ使うかもしれないのと、パッケージのオムツをしたアメショの猫が可愛過ぎてついつい買ってしまった。

開けてみるとそれはもう可愛い!赤ちゃんの小さなオムツがより小さくなったのだから当たり前だ。

チェックの小さな紙おむつは、猫がこれをする時の状況を考えたら微笑んでいる場合ではないのだが、こんな状況にも関わらずテンションをいっとき上げてくれた。

まぁでもコレをあいつが簡単に履かせてくれるわけもないし、こんなに可愛いオムツを汚したくないし、オムツかぶれ的なことになるかもしれないし、何よりきっとソルのストレスになるから当面は愛でる専用だ。

とりあえず、家中フンだらけにするわけにいかないので、外出時や見切れない時には来た時と同じ部屋に隔離することにした。

 

そうこうしてる間に1週間が経ち、検査結果が出る頃だろうと病院に行ったところ、想定外の結果が待っていた。