十八、飽きという課題。

こんなに快調に快便が続くのは初めてのことで、受け入れ間もない頃であれば確実に有頂天になっていただろう。

しかし私はこの半年間の同居の間に、既にこのオスネコが、

「ニンゲンにとって飼いやすい、ラクでカンタンなネコには落ちぶれまい。係の者(私)がサボらないよう常に自分の存在を誇示しなければならない。」

と固く決意していることをイヤと言う程思い知らされていた。

だからきっと、何かある。これで徐々にクスリを減らして万々歳なんて甘い期待はもう出来ない。そんな風に疑心暗鬼で過ごすこと2週間。

ピッタリ2週間。

大丈夫。わかっていた。

別に落ち込まない、落ち込まないけどやっぱりまたピタッと口をつけなくなりました。飽きたんですね。飽きたんでしょうね、チョッちゃんチョッちゃんはニックネームです)

一度そうなったらもう彼にとってこのゴハンはもはや食べ物ではなく、なぜかエサ皿に入っている物体となる。

「なして、こんなモノがエサ皿の中に?」

「はて?」

心底不思議そうに首を傾げるのだ。

 

そうなるともう24時間ハラヘッタ体制のスタートだ。鼻をピクピクさせて拾い食いハンターと化す。ストーカー行為に邁進し、後追いの赤ちゃんばりにトイレにまで付いてきてチョーダイチョーダイとやる。

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私は悩んだ。そして悩んだ末に決めた。

突き放そう。

今度こそ。

たとえ体重がダダ減りして高級点滴を打たれても、この先2週間おきにゴハン探しの旅に出るよりはずっとマシだ。

拾い食いは困った癖だけれど、小さな子がいるわけでもないので基本的に食べられるモノは落ちていない。

後追いは目を決して合わさないようにして乗り切る。

そう覚悟を決めたのだった。