アキモトの「猫ちゃんのふりかけ」159円。
ネーミングセンスと言い、お値段といい、なんだかソルにピッタリなのである。
ソルは生まれこそ都内一等地で、父も母も高級猫の由緒正しい血筋だが、何しろ育ちが悪い。
そう言ってしまうと、可愛がって育ててくれた母には申し訳ないが、戦後間もない頃に少年時代を過ごした父による野良猫教育は、ソルの血となり肉となった。
見かけはアメショのスコティッシュだが、中身は完全に庶民派、サザエさんちのタマをちょっと悪い感じにしたように仕上がってしまったのである。
その、いかにもな「アキモトの猫ちゃんのふりかけ 159円」を2匹の前で開封すると、明らかに雰囲気がざわついた。
2匹しかいないのに、
「なんだなんだ、このニオイはなんだ?」
「この最高にイケてる香ばしいニオイ以外のことはもう何も考えられない。既にオイラは(アタシは)夢中になっちゃったヨ」
と、ザワツキが止まらない。
この安いニオイ(この安さには感謝してます)に早くも心を鷲掴みされてしまったようであった。
「猫ちゃんのふりかけ」は、カツオ節と小イワシのブレンドだった。
シラスとかチリメンジャコの10倍くらいのサイズで、ほとんどが頭だけもげていたり、ひん曲がっていたりして、なかなかえげつない見た目になっている。
見かけがなかなかになってしまっているイワシの方は避けて、カツオ節をほんのちょっとだけつまんで、減量r/dに振りかけて入念に混ぜた。
それをザワザワしている2匹の前に置くと、それはもう定食屋に来た日体大生のようにワシワシとものすごい勢いで食べた。
この勢いの波に乗っかって、
「たとえ飢えようと仕方がありません」
という気概で、ここ最近の2匹が決して口をつけようとしなかった腸内バイオームを取り出し、そちらにもカツオ節をかけて置いてみる。
すると、これまた食べた。しかもペロリと完食。
その結果r/dよりもすばらしい排便をしてのけたのである。
自分で言うのもなんだけれど、今まで下痢を治すために涙ぐましい努力をしてきた。
フードを変え、レンジで温め、ちゅ〜るで和え、だしパックでニオイをつけ、トンカチで粉砕し、と、ありとあらゆる方法を試してきた。けれど何をやってもダメだった。
ここでとうとう、先生からGOサインを頂けてない市販のフリカケという禁じ手を使うに至った。
が、明らかに、今までで1番よく食べている。
少量ですばらしい結果を叩き出した。
まさに毒を持って制す。
これで良いのか。
これが良かったのか。
完全な正解なのかどうかがわかるのは、飽きる頃合いの2週間後である。