二十三、猫ちゃんのふりかけ③

Xデーは、今までの統計から導き出された日にきっちり訪れた。早くも2日後だ。ついこの前まで2週間ペースで訪れていた「飽き」が、ここのところ2日で訪れる。

丸2日間、
「うっめ!!このワイルドな感じ、たまんねえ!マジこれなら3杯はいける!」
と(心の中で)何度も言うので、こちらも、
「はいはい、良かったね。いいから早く食べちゃいなさい」
と、言うくらいに喜んで食べていたのだ。

それが今朝は信じられない手のひらの返しようだった。
前2日間と同じように、エゲツなくモゲたイワシの頭をミルで粉砕したものを振りかけたエサ皿を置くと、ソルは急には信じられないリアクションをとった。
あいつは(心の中で)こう言ったのである。

「ひっっ!?何これ?何このニオイ。くっさ。こんな下品なニオイ、ボク嗅いだこともないヨ。おかーさん、ボク怖ーい!」

そうして、一瞬ニオイを嗅ぐとスタコラサッサと逃げていったのである。

私は、まずイワシに謝ってほしいと思った。
しかるべくして次には私にも謝ってもらいたいと思った。
そして今、隣でガツガツと食べているルナにも大変失礼な態度だと思った。

急にカマトトぶる76才のジイサンなんてちっとも頂けないのである。

コレが人間のジイサン、仮に義理の父であれば、
「お義父さん、せっかくお義父さんの身体のコトを考えて作ったのにあんまりです!ウッッ」
って、言ってやったかもしれない。

でもやっぱりカマトトぶった76才のジイサンでも、ネコってスゴイ、可愛いんですよね。

こうして私はその日の午後、近くの高級ペットショップに高級フリカケを買いに行った(行かされた)のであった。

ここに至っても、人工知能よりはるかに恐ろしいネコAIに完全支配されていることに私はまだ気づいていなかった。