侵入者5・市役所の生活衛生課に電話で相談する。

翌日、この件について市役所に電話で相談をした。

この家に引っ越してきた数年前、中庭にアシナガバチが巣を作っていて、どうしたものかと思っていた所にご近所の方から、市役所に電話したらどうか、とアドバイスをもらったのだ。


対処方法を詳しく教えてもらえた記憶があり、それで今回も電話をしてみることにした。


担当部署は、市の福祉保健センターの生活衛生課の環境衛生担当という長々しい名称だった。


電話をかけると「担当者につなぎますのでお待ちください」と、バケツリレーが3回続いた後、担当者が出た。


どうやらアシナガバチの時と同じ人だ。


数年前なのに覚えていたのは、女性で、蜂の生態にとても詳しく、しゃべり口が非常に淡々かつ朴訥かつ飄々、といった感じで、いかにも化粧っ気のない、服装にもさほどの興味がないだろう外見が目に浮かぶようだったからだ。


和室の長押から子ネズミが落ちてきた話をすると

「なるほど」

と、一言。


そして、前回のアシナガバチの時と同様に、ネズミの生態について、これからどうしたら良いかなど、詳しく教えてくれた。


電話で話してわかったのは、

人間の居住空間に侵入した気配がないことから、ウチにいるネズミたちは、天井裏に巣を作り、日中はおそらく餌を取りに外に出ているのだろうということ。

侵入経路を突き止めることが先決だということ。


どこから侵入したかがわかれば、彼らの外出中にそこを塞いでしまい、入場できないようにしてしまえば1番カンタンにコトが済むということ。


出入りのタイミングがわからず、家の中にいるのに塞いでしまった場合には、閉じ込めてしまうことになる。


その場合は、季節によってはカラカラに干からびることもある。


中に閉じ込めてしまった場合には、カラカラになってくれたらそれが一番マシな事態だということ。


たとえカラカラでも害はある。が、カラカラにならない場合は、比較にならないほど厄介な感じになるであろうということ…。


加えて、その担当の女性は、駆除業者の電話番号を何件かと、さらに専門で、詳しい対処法がわかるかもしれない県の問い合わせ窓口やNPO法人の連絡先も教えてくれた。


「こう言った場合は業者に頼まないと難しいのでしょうか。大体いくらくらいかかるものなのでしょうか?」


と尋ねた。すると、


「ご自分でされる方もいますよ。業者さんにもよりますがけっこうかかる場合もありますね。」


と言われた。


淡々とした話し口の担当者は、最後の最後に少し口調を変えて楽し気に言った。


「実は1番効果的な最強の方法がありまして。やっぱりネコを飼うとテキメンに寄り付かなくなるものなんですよ。」


電話を切った後、ルナを呼び、もう少ししっかりするようにと言って聞かせたのだった。