侵入者17・子ネズミ一家掃討作戦。締めはバルサンで。

子ネズミ一家のことで頭をいっぱいにしているうちに季節はすっかり変わってしまった。
気付けばもう初冬である。

ホームセンターで、バルサンを5つ買ってきた。

数日に分けてお焚き上げをした。

天井裏はケムリですべて真っ白になり、それによって浄化される。

部屋の家具を布で覆ったり、台所用品、家電を棚にしまったりと、それなりに大変だった。
でも、1人でやり遂げだ満足感も大きかった。

出費はかさんだが、20万円には程遠い。10,000円を超えたか超えてないか程度で済んだ。

それもこれも華丸さんが出入り口を教えてくれたおかげである。どの世界でもプロの仕事は偉大だ。

もしも私がネズミ駆除の業者であれば、今回のようにユルリと感傷に浸りながら、まるで駆け引きを楽しむかのように追い出すなんてことは有り得ないだろう。
粘着テープを天井裏に張り巡らせて、数日で始末をしたはずだ。

プロに任せたら早くてラクで安心だったに違いないけれど、天井裏の世界をのぞくこともなかった。
家の中にあんなに不思議に静かな場所があったなんて知らなかった。
ネズミのことも少しだけ詳しくなった。
世の中にはネズミで大変な思いをしている人がたくさんいることを知った。
バルサンを人生で初めて使った。
一度シロアリにやられた家屋は、たとえ処理が終わっていようと絶望的に痛んでいるし、痛みやすいことを知った。

そういう諸々の新しく知った出来事は、知ったからと言って、誰かの役に立つ機会はないだろうけど、人に頼んで通過したらもったいない出来事かもしれないと思っている。