傷ものにしてゴメン。誤って猫を出血させてしまった話。

 

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今まで家族からの愛情をその身に一身に受けて過ごして来たルナ。

ここ半年でその生活が音を立てて崩れ去った。

ソルが来るまでは、日に100回は撫でられていたのではないだろうか。

人間は占いで、今年は良い年だの、厄年だから色々起きるだの運勢の好不調を知りたがるが、そういった運勢で言ったら、ルナの今年の運勢はこんな感じだろうか。

「出会いあり。新しい人(猫)来たる。厄介ごとに巻き込まれるが学びの糧とすると吉」

ルナはこれまでも、順風満帆のんびりダラダラってほどではなくて、それなりに色々あった。

病気をいっぱい抱えて初めて我が家にやってきたこと。

朝に夕に動物病院に通い詰めて、毎日が通院まみれだったこと。

慣れて来たと思った2ヶ月後には態度のデカい知らないオスネコ(ソル)がやってきたこと。

再び一人っ子になったこと(ソル、実家へ旅立つ)。

地球外生命体みたいなの(ムスコ)が登場したこと。

古い空き家に引っ越したこと。

引っ越しの日は、ひとりぼっちで引っ越し先の古い空き家の土間の奥で一晩過ごしたこと。

網戸の隙間からうっかり屋根伝いに冒険に出てしまい途中で動けなくなり、ハシゴをかけて近所のおじさんに助けてもらったこと。

終の住処に引っ越したこと。

急性腎不全で入院したこと。

甲状腺機能亢進症にかかって一生クスリと縁が切れなくなったこと。

突然、ジイサン猫(ソル)と、また一緒に暮らせと言われたこと。

 

思い起こせばキリがない。

 

そして今、彼女は運命を粛々と受け止め、好き嫌いが激しいジイサン猫が食べ残したマズイ療法食を食べ、ナァナァとうるさい鳴き声で、自分の専属だった下僕(私)を勝手に使いまくるジイサン猫を遠巻きに、冷ややかに見つめている。

 

ジイサンの身の回りの世話ですっかり忙しくなってしまった私は、そんな彼女の視線を感じながら、そばに馳せ参じることが出来ず後ろめたい気持ちを引き摺りながら日々生活していた。

 

せわしない日々の中、気づくとルナの長毛はギッチリと固まってしまい、かつて見たことのないようなフケに覆われてしまった。

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ブラッシングでチマチマと梳くくらいでは到底間に合わない固まりが至るところにできてしまった。

せこせこと毛の塊をほぐし、どうしてもほぐれそうにない箇所はハサミでカットしていった。

当然とても嫌がる。

本当に申し訳ない気持ちでいっぱいになりながら、だましだまし刈り進めた。

その日もそうだった。

いつもどおり、負担をかけないように少しカットし、何事もなく階下に降りて洗濯に取り掛かっていた、そんな時。ムスコの、

「おかーさーん!ルナが大変!!」

という声が聞こえた。

行ってみると、

「ケガして血が出てるよ!」

と言う。見ると右の前脚とおなかの間くらいのところが1.5センチくらいだろうか、パックリと切れている。

どうやら毛の塊が強固すぎて、ハサミで塊を途中まで切ったため少し経って皮膚がパカッと切れてしまったようだ。なんてこった。

幸いにして出血はすぐに治まった。

本人は気にも留めていない様子だったが、皮が破けてしまったところは痛そうだった。

その日はずっと、クドクドと夜まで詫びたのだった。

出血が治っていたので、このまま自然治癒すると思いますよ、と言ってもらえるかなと期待しつつ病院へ行った。

すると外科的な施術をした方が良いとのこと。

外科的な施術、といっても外科用ボンドで止めるだけだった。が、想像以上に大きな怪我を負わせてしまったのだと自覚したのはお会計が2万円を超えて来た時だった。

ソルだけにかかりきりになってしまったことを多いに反省させられる出来事だった。

今まで、長毛ネコはブラッシングしないと固まるからブラッシングしていたわけでなくて、可愛いからブラッシングしていた結果、固まらなかったということに初めて気がついた。

ネコの皮膚はたるみがあるので、バリカンはやめた方が良いと先生にも言われているので、まめにブラッシングしなければと反省しきりでした。