三十、猫に手作りごはんを作らされた話。繊維反応性疾患という病気。

刻んだニンジンと鶏肉を食べたソルは、その夜ウンチをしなかった。

日に5回は下痢便をするのがソルスタンダードだったため、その日常に慣れ過ぎた私は思わず、お腹痛いの?と聞いたほどだった。

が、出ない。

つい数ヶ月前までの状態を思えば、他の場所で出しちゃったあるあるも、たまにはありだろうと、クンクンと鼻を鳴らしながら家中を歩き回る飼い主なのだった。

しかしブツがない。

判然としないながらも、その日は就寝。ソルも就寝。

翌日。
1年間のお付き合いの中で初めて見る、カチコチのソレ。
え〜!?ちょっと、これしたの誰よ!?
到底すぐには信じられなかった。
でも確かにソルのだ。
ルナはソルのトイレは絶対に使わない。

私はもう、それ以上はマズイだろ…ムツゴロウさんだろ…というくらい顔を近づけ心ゆくまで堪能、感動した。
そしてカメラに収めた。
感動がヒタヒタと押し寄せる。
大袈裟でもなんでもない。
こんな日が来ることはもう諦めていた。
そのくらいこの1年間は、何度も何度も期待しては落胆することを繰り返してきたのだ。
今回も、とても嬉しい分、また一気に凹まされるようなことが起きるのかもしれない。
でも1度でもコレが出たなら、私にとって、もう奇跡と言うしかないくらい感動の出来事なのだ。
また明日から下痢便に戻ってしまっても、この写真を心の糧にして生きていこう。

しかしニンジンでこの1年間のすったもんだ下痢紀行が解決する??
謎すぎるんですけど。

と思いつつ、私が次なる食材として考えたのは、先週お隣の高野さんから頂いたばかりの紫芋でした。
ちょうどたっぷりある。
サツマイモと言えば食物繊維だ。
ラクル第二弾だ。
いそいそと台所に立ち、サツマイモを蒸すのだった。
そして結果、ニンジンを上回るすばらしい排便をやってのけた。

動物病院の先生にも、こうした経緯は話していて、ソルの病気は慢性腸症ということで、これまで投薬治療と療法食を試していたが、この頃にはどうやら繊維反応性疾患であろうという見立てに少しずつ変わってきていた。

なので、療法食をどうしても食べてくれないので、ニンジンやらサツマイモやらを勝手にあげていることを告白したら、いつものように優しい笑顔で、
「いいですよ」
と言ってくれた。

こうして、ニンジン+鶏もも肉、サツマイモ+ササミで、絶好調だった私は、次のメニューで大失敗をするのだった。