四十八、動物病院入院3日目。尿道の石をやっつけろ!

主人と話し合い、また、先生と私の電話のやりとりの顛末を聞いて大号泣してしまった息子の気持ちも鑑み、それから自分の気持ちを再度確認して、安楽死はやめることにした。

幸か不幸か治療をすることになったソルには、高齢で大変ではあるが、ここはひとまず何とか乗り切ってもらいたい。

とは言え、ヒトに置き換えたら推定年齢80才近いソルの体の負担と、30万円一挙投入という、我が家の家計からしたら災害級のとんでもない経済的負担を出来ることなら回避したいため、まずは超音波で石をやっつける作戦に望みをかけることにした。

そう決めた翌朝、先生に電話したところ、早速この施術を試してもらえることになった。

後はもう先生に託すのみ。何も解決していないが、ここのところずっと悩み続けていた大きな選択が終わり、肩の荷が少しだけ降りた。

その日の夕方、病院から電話があった。
破砕することは出来なかったが、圧をかけて膀胱に押し戻すことが出来たとのこと。
このまま膀胱内に大人しくとどまっていてくれたら、とりあえずは経過観察で良いだろう、明日には退院できるはず、との話だった。
石は粉砕できなかったが、押し戻せたならまずまずの結果だ。

結局、お金も安く済んだし、体の負担も少なくて済んだ。最高じゃないか!さすがソル、不死身のオトコ!と、家族みんなで喜んだ。

そう。
私はこの時すっかり忘れていた。
ソルという猫の厄介なところを。
こちらが油断している時はすかさず、

「オレはそんな簡単に飼える、安いオトコじゃないんだぜ」

こちらの身を削るような爪痕を残すことにこだわるオトコなのだ。

青春か。じいさん猫にニキビが出来た。 - onoesanと猫と保育となんやかんや。

だから、我々家族が能天気に笑っていられたのは、翌日病院から電話が来るまでのほんのひとときのことだった。