ベットの早慶、トップに君臨して絶対的地位を確立している犬と猫。
どちらも魅力が満載だが、猫には決して犬にはマネできない抗い難い魅力がある。
実際に飼ってみて、初めて知った。
抱き心地だ。
「百万回生きた猫」を著した佐野洋子さんも著書で書いていた。猫はとにかく抱き心地がイイと。心から同感だ。
子猫ではない。軽過ぎる。
若い猫もダメ。ピチピチし過ぎている。
皮膚の張りがなくなった年寄りの猫が最高だ。
包むように抱かないとトロンと落ちてきそうな、つきたての餅みたいな柔らかさ。
寝てる時にそっと抱くと、抵抗もせずに全身を任せてくる。この時の適度な重さ。
そして触り心地に加えて手に伝わる申し分のない温度。
思わず声が漏れてしまう時の湯加減とよく似ている。
機嫌を損わぬようにそっと抱き、トロリとした感触を味わえたら。
うぅ幸せ…と、そっと心の中でつぶやく。
リラックスした猫が四肢を投げ出すようにゴロンとして、上目遣いでこちらを見る。
今、抱いてもいいけど?と誘っている。ようにしか見えない。
こんなこと、あの、子どものように無邪気で、優しい瞳で、照れもせずストレートに大好きだと伝えてくれる犬は絶対にしない。
年を取ってからが真骨頂の抱き心地。
したたか過ぎる、と思う日々。