onoesanと猫と保育となんやかんや。

〜おいぼれ猫たちとの日々と、あれやこれや〜

週末は部屋を引っ越すことに決めたという話。

なんだろう。

ウチから1キロも離れていない場所なのに、こんなにも私の日常で感じることがない空気に包まれている場所があるなんて。


ここから数百メートル先にある、いつも買い物をするスーパーと、ここの空気が同じ気体から構成されているなんて到底信じられない。


正門から入って見えてくる校舎もなんとなくざわついている。


明らかに1ヶ月前にPTA会議で訪れた時とは別の空気が漂っている。

PTA会議が大喜利大会のようだった話。 - onoesanと猫と保育となんやかんや。



ーでも。この空気にはかすかに覚えがある。

この空気の充満した空間で過ごした記憶。

あまりにも古い記憶過ぎて、とっくに掘り返せない深さのところに埋もれていたはずが、ここにいると数年前のことのように蘇ってくる。



先月のPTA会議からこの1ヶ月の間、バレンタインデーがあり、受験があり、進学先が続々と決まり始めている。卒業まで1ヶ月を切った。

今はそういう時期なのだ。


先々週、ムスコが骨折して以来、中学校まで車での送迎を余儀なくされている。

こういったアクシデントは、子どもをたった一人育てているだけでも慣れっこである。

まだまだ手がかかるのだ。



そうだ。

四半世紀よりずっと前だけれど、当時も、こんな風になんとなく落ち着かない、ざわざわした空気だったと、卒業間際のあの頃の感触を思い出す。



チャイムが鳴り、子どもたちが降りてきた。


友だちと笑いながら下駄箱の靴を出す子もいれば、掃除当番なのだろうか、意外に丁寧にマットをどけて、箒で砂を掃き出し始めた男子生徒もいる。


これから部活の子、下校する子、それぞれに歩き出す。


ムスコと違って、みんなすっかり大人っぽい。

そう言えば職場体験に来た米田くんだって、考えてみたら、当時はムスコと同世代だったのだ。

保育園で。中学生が職場体験にやってきた話。 - onoesanと猫と保育となんやかんや。


小柄なムスコは、初めての授業参観でも1人だけ小学生が混じっているようだった。

小さいし、声変わりもしていない。
本人も気にする様子がないので、今もベッドをくっつけた父親の隣で寝ている。


中学生になったら、遅ればせながら1人部屋にする予定だった。


ところが老猫を引き取ることになり、昼夜問わずの世話が始まり、今は私が、ムスコに与える予定だった1人部屋をネコ2匹と使っている。



放課後の下校時刻、昇降口の前でムスコが来るのを待つ。


やがて、友だちにリュックを持ってもらったムスコが階段から降りてきた。


あれ…?

あんなに大きかったっけ?

周りの子と変わらない。

どこからどう見ても中学生だった。


私が見ていることに気づいたムスコは、後ろから話しかけてきた女子生徒を完全に無視して車に近づいてきた。


そうして、ウチの空気を運んできた車に乗り込んだ途端に、いつもどおりのムスコになった。


すっかりいつもの顔になり、

「今日のおやつは?」

と、幼い顔で聞いてくる。


でも。

知ってしまった。

彼は既に、ここのフィールドのヒトでもあるのだということを。

そこにいる時は、私が知っている彼ではないということを。


うっかりしていた。

ムスコはもうとっくに大きくなっていたのだった。


今度の週末には、ネコたちと一緒にあの部屋を引っ越してムスコに明け渡そうと決めたのだった。