12才まで、健康優良猫として堂々と生きて来たソル。
慢性腸症と繊維反応性腸症という難病に突然襲いかかられて、慣れ親しんだ家から遠く我が家にやって来た。
14年ぶりに、再び私たちの家族になってもうすぐ1年半が経つ。
あと1ヶ月と少しで15才だ。
一、そして再び飼いネコ2匹。 - onoesanと猫と保育となんやかんや。
今回は急性膵炎で二日間入院し、一昨日戻ってきた。
ダンディな15才になれるのかと言えばかなり厳しい状況だ。
一年半の間に、膀胱結石による4度の尿管閉塞をメインに、猫コロナや角膜潰瘍などの各種の病気にも何度もかかりながら何度も乗り切って来た。
そのつど、安楽死について考え、驚くほど進歩した動物医療に、動物にとっての本当の幸せとは何かをさんざん考えさせられたし、治療代と我が家の経済状況とのバランスの悪さにも大いに困惑した。
しかしここ数ヶ月は、そんな考えをいっとき忘れさせてもらえたくらい、ボチボチ順調に過ごせていた。
順調とはいえ、朝晩の薬は3錠ずつ、食べられるのは繊維多めの療法食のみ、飲食は頻回を少量ずつ、と制約が多い上、それを守っても夜中の下痢や嘔吐もしょっちゅうだった。
もう本当に、おつかれさま、ゆっくりお休みと声をかけてやらなければいけない。
あくまで今のところではあるけれど、幕を引くのは本人の予定なので、それまでは伴侶動物の医療進歩に振り回され過ぎないように気をつけつつ、最も苦痛のない状態で逝けるように伴走に努めたい。
今は殊勝にもそう思っているが、彼の出方次第では平静でいられる自信はない。
目の前で衰弱していく様子が時に激しくなってもオタオタとしないようにと今から自分に言い聞かせている。
今回の症状もまたかなり重篤で、吐き気どめを飲んでいるのにも関わらず一晩中嘔吐を繰り返している。
お腹はへこみ、ほとんど動かないでいる。
日頃は飲食に関してとんでもなく配慮が必要なのだが、今回はもう、食べればなんでも良いから与えること、それによって下痢がどんなにひどくなろうとも優先順位として仕方がない、ということであった。
この分では脱水の危険もかなり大きいだろう。
日頃はお目にかかれない、目が眩むほどゴージャスな猫缶を開封した。
いつもであればトラに豹変してもおかしくない。
しかし、鼻をヒクヒクとさせ、気持ちペロペロと舐める程度である。
膵臓全体に炎症が広がっていて、食べるのも辛いし、食べてもほぼ吐く。
無理してまで食べさせたくはないけれど、経管栄養にしてでも食べさせないと今度は肝臓がやられてしまうらしい。
こんな時だから、玄関までの送迎サービスはもちろん休んでもらって大丈夫だから気にしないようにと伝えた。
いつもはルナと違って必ず駆けつける。
気立ての良いところがある。
猫は相当な不調でもポーカーフェイスを保つというけれど、今はそんな余裕はない。
猫のくせに顔色さえ白くなっているように見える。
なんでオレばっかりこんな目に。
脇でガツガツ食べている私やルナを見て、人間ならばきっとそんな風に思ってしまうだろうに。
当の本人が粛々と受け止めている以上、私も受け止めなければいけない。
少しでも穏やかに逝ってほしいと、そればかり思う日々なのだった。