好きな家事と嫌いな家事。

家事を広い範疇で捉えれば、これも入れても良いと思う。

ノコギリを使う家事が好きだ。


今も背の高い本棚の背面にノコギリが刺さっている。


新しく本棚を購入すると、高くつく上に廃棄処分の手続きと処分費用も発生する。


家計を守るためにはやらなければならない作業、だから家事と言って差し支えない。


前面から刃を入れると目立ってしまい家族に知られてしまう。


そうなると色々と面倒臭いので、後ろから入刀している。


ノコギリは案外大きな音がするので、家族のいない隙をついて少しずつ、気長にギコギコとやるのである。


そうして、この大きな本棚はいずれ4分割され、そのうちの3つはラッカーで色を変えてステキに生まれ変わり、残りのひとつは広々と、愛読本の皆さまが喜ぶような居場所に生まれ変わる。


その後、家族全員が1人部屋になった今、それぞれの部屋へとお引越しするというプランである。

みんな1人部屋になったという話。 - onoesanと猫と保育となんやかんや。


大丈夫、きっとうまくいく…。もう始めてしまったから。


ノコギリが刺さった光景は、自分でやったこととは言え刺激的なので不安になってしまいがちだ。


日々、大丈夫、きっとうまくいく…と、自分に言い聞かせている。


家族が不在の週末が待ち遠しい。


今までにも、たくさんの家具をこの手にかけてきた。


馬鹿の一つ覚えのように真っ二つにするだけではない。


カラーボックスにタイヤをつけて生き生きと滑れるようにしたり、穴を開けて配線できるようにしたりもする。


だからもしもこれを家事と言って良いのなら、平均点が一気に上がるので、家事が得意な奥さん、ということになる。


家事が得意な奥さん、とイメージしてもらっても良いかもしれない。


ノコギリを使うという同ジャンルに入ってくるため、庭の木を伐採するのも好きだ。


ただしセンスがないので近隣の皆様には、


「一度プロにお願いすると見栄えが変わるし、その後にまた自分でやるとしてもここまでにはならないと思う…」


といった、非常に親身なアドバイスも頂いているが、今のところは自分で良い感じにやれているかなと思っている。


反対に、平均点を一気に押し下げてしまう大嫌いな家事ナンバーワンはお風呂の掃除だ。


我が家の風呂釜は贅沢な広さがある。


中古住宅なのでサイズを選べなかった。


本当は体がちょうど収まるサイズが経済的にも労力的にも良かった。


風呂釜の中に「腰掛けて足湯でもやれよ」というような段差と「肘でも乗せてリラックスしたらどうだ」というようなゆるいカーブが両脇にある。


だからカーブで上下を分けるとするなら、面で数えると10面プラス2カーブとなる。


風呂釜は白いので、どこまで洗ったかわからなくなる。


それを防ぐために、擦り終えたら必ず


「最上面ヨシ!…右上側面ヨシ!…底面ヨシ!…左側面ヨシ!…」


といった感じで、心の中で元気に声掛けをしながら進めている。


テキパキしたイメージの対極にいる人間なので、面の名前を言いながら終わらせていくというこのやり方は、なんだかテキパキとしたイメージがして気に入っている。


まあ、だからと言って嫌いなことには変わりない。


しかし救いの神がいる。スクラビングダブルバスクリーナーでもバスマジックリンエアジェットでもない。


息子である。


お風呂掃除と言えば子供にやってもらうお手伝いの不動の一位ではないだろうか。


私もコレをお願いする時にはいつも、あー産んで良かったと喜びを噛み締めている。


しかし彼が鎖骨を骨折して以来、押し付けられなくなってしまった。


息子は病院に行くと、いつサッカーを再開しても良いかばかりを聞いている。


サッカーにGOサインが出たら、それはもうお風呂掃除もGOサインが出たと解釈して良いだろう。


息子の復帰が待ち遠しくてたまらない今日この頃なのだった。