鳥の丸焼きにしたという話。


ド平日の本日、鳥を丸焼きにした。


お祝いではない。


それどころかムスコはインフルエンザで出席停止中、昨日までツワリの妊婦のように、たらみのゼリーしか口に出来なかった。


ー「クリスマスは鳥の丸焼きにしよう。」


そう思い立ち、スーパーで丸ごと1羽購入したのは昨年のクリスマスイブの前日だ。


が、24日はグダグダに疲れてしまい、忘れることにした。


イブではなくクリスマス当日に作れば良い。


しかし25日もどうしても重い腰が上がらなかった。


晦日に作ろう、それで良い。


冷凍庫に放り込んだ。


そして大晦日には、"正月こそ最も相応しい"と閃いた。


そうして正月は瞬く間に過ぎ去り、過ぎたと思ったらあっという間に節分になってしまった。


節分の日には恵方巻きすら作れなかった。


いくら冷凍とは言え、これ以上の放置は絶対に許されない。


このままでは春になる。


「明日の自分は、今日の私がこれからすることを決して許さないだろう。でももうやるしかない…」


そう覚悟を決め、冷凍庫からエイヤと取り出し自然解凍したのだった。
これでもう引き返すことは出来ない。


この行為の間中、ムスコが現在、"たらみのゼリー"しか喉を通らないコトはすっかり忘れていた。


そうして、疲れもMAXの週の真ん中、食卓はクリスマスになったのだった。


ストーブを出す時期になると、よく焼けた"鳥の丸焼き"を食べたくなる。


理由は彼女にある。

毎年、石油ストーブを出すと、焦げるのではと心配するくらい近づくルナ。

幸いまだ焦げてはいない。

焦げてはいないけれど、お尻のアップが鳥の丸焼きに見えて仕方ないのだった。



これで明日からはようやく、冷凍庫を開けても溜息をつかなくて済むことにホッとしている。