二十六、ゴハン問題から見えてきたこと。

振り返ると、減量r/dを初めて導入した時、2匹は本当に嬉しそうに(心の中で)こう言った。

「おかーさん、コレほんとにおいしいよ!ありがとう!」
そうして満足そうに(多分、最高の笑顔で)r/dを完食した。

その2週間後、2匹はピタリと食べることを止め、

「おかーさん、一体どうして私(ぼく)はこんなにひもじいのかしら…生きていても良いことなんてもうない気がするのヨ…」

と寂しそうに(心の中で)呟いた。

その後、あきもとの「無添加 猫ちゃんのふりかけ」を導入して、これを振りかけることで2匹揃って腸内バイオームすらパクパクと食べられるようになった。

猫ちゃんのふりかけは人間でもわかりやすい強力なカツオのにおいだ。
だからもう、これさえあれば腸内バイオームから始まった、一連の、長く混迷を極めたゴハン問題にもようやく終止符が打たれるものと思ってしまった。

実際、あそこまで夢中で食べたソルの姿は、我が家に引き取ってから初めてだった。

だからそう、(いつも通り)油断した。
もう考えなくて良い、やっと解放された、と懲りずにまたしてもホッとしてしまった。

そうであったから尚更、あの光景を再び見た時には膝から崩れ落ちるようなショックを受けた。

「ウソでしょ⁉︎ウソだって言って!」
と、思わずソルの肩を揺すって問い詰めてしまった。我ながら無理もないと思う。

2匹並んで、たっぷり入ったエサ皿を前に身動きもせず、こちらを真っ直ぐに見上げ(心の中で)こう言う。

「なんにも入ってないね(食べられるものが)」
と。

ここまで来てようやく、ようやく私は悟った。

「ソルは飽きっぽい」
ということを。

「この飽きの連鎖は永久に続く」
ということを。

ルナはそこまでではない。あくまでこの「何もないね」のポーズを先にやろうと言い出しているのはソルだ。

ソルがもしも人間だったら。

ソルがもしも人間だったら、

「人好きのする、ものすごく調子が良くてちゃっかりした奴。内弁慶。でも寂しがり屋で憎めないところがある。イヤなことがあっても割とすぐ忘れるタイプ」

である。
そして今回の一連のゴハン攻防戦の日々により、

「とんでもなく飽きっぽいオトコ」

という一項が加わった。

ソルはネコにしてはかなり個性豊かだ。
ルナのことはここまで擬人化できない。
頑張っても、

「繊細で弱々しく見えるが実は堂々としている。怒りっぽく、ちょっとしたことで苛立つところがある。いわゆる猫気質。」

と、猫から抜け出すことができない。

そして、食に飽きっぽいということは、本能的な部分の傾向性は基本的に変わらないであろうから、おそらく人間だったら交際相手のこともすぐ飽きるのではないだろうか。

性格的に考えてみても人間だったら女性の敵だった可能性がかなり高い。

ネコと飼い主の関係性で良かった。こんなやつに関わったらエラい目に遭うところだった。