侵入者7・子ネズミ一家の玄関はどこだ!?

落ち着いて考えてみた。
そもそも子ネズミが和室の長押の所から落ちてきたというのはどういうことか。
長押の後ろはどうなっているのか。

和室に食卓の椅子を運びこみ、その上に乗って長押の裏を覗き込んだ。

驚いた。
6畳の和室にグルリと取り付けられた長押は、すべての箇所において裏側には壁がなく、天井裏と筒抜け状態だった。
子ネズミが落ちてくるわけだ。
長押の裏側は、何としても真っ先に塞ぐ必要があるだろう。

この長押のスキマから、和室で使っている冷暖房が天井裏に流れ込み、子ネズミ一家をますます快適にしていたらしい。敵に塩を送るとはこのことだ。

家の北側にある和室は毎年とても寒く、冷蔵庫代わりに野菜を置くほどだったけれど、このスキマを埋めたら多少は変わるかもしれない。

とにかく、ここはまず真っ先に塞ぐ必要がある。

次に、天井裏にアクセス出来る場所を確認していく。
点検口が3ヶ所あった。
和室の押入れの天井、浴室の天井、2階クローゼットの天井だ。
それぞれ顔を突っ込んで中の状況を確認しなければならない。
当然のことながら、最も気が進まないのは和室の押入れの天井裏だ。
真っ暗闇の中に、人間のパーツの中で1番大事な頭を、ヌッと、ネズミが跋扈している天井裏に出すのだ。
はっきり言ってイヤだ。イヤすぎる。

うん。先に外回りの確認だ。そうしよう。
というわけで家の外に出た。
彼らの玄関は一体どこなんだろう。

家の周りを、目を皿のようにして、グルリと一周する。
床下の換気口、通風口、エアコンの排水ホース…少しでも怪しいと感じるところは丹念に見て行く。

ネットで得た知識によると10円玉サイズの穴が開いていたら、種類によっては侵入できてしまうとか。そんなの、狙われたら一巻の終わりではないか。

しかし、じっくり見て回っても特に怪しい気配のする箇所は見当たらなかった。
敢えて言ったらエアコンの排水ホースあたりか。でもこのあたりの構造は、全ての家に共通している。我が家だけが狙われるのは不公平だろう。

結局のところ、子ネズミ一家の出入り口は私ごときではさっぱりわからなかった。