十六、偶然出会った減量r/d。

 またしても振り出し感満載とは言え、引き続き打開策を模索していくほかない。

ソルが来てからというもの、良くなった、とか、これでうまくいくかも、と期待すると100パーセントの確率で元に戻ったりひどくなり、裏切られることを何度も繰り返してきた。

何度も何度も、まるで波乗りのような日々だった。

不思議なもので、もうすべてやり尽くした、と思っても、しばらく経つとまた何かしらの攻略法を思いつく。そして思いついたら当たって砕けるしかない。

とは言え、大したアイデアはさすがにもう浮かんでこないのだった。

消化i/dしか食べなくなってしまった今、相変わらずのひどい下痢便だ。下痢が治らないと猫砂も排泄の度に大量に消費してしまうし、回数ももちろんのこと昼夜も問わずなので、お世話するこちらの負担は大きい。これ以上、負担に思うと可愛く思えなくなってしまうかもしれない。飼い主に負担感しか与えられないネコにするわけにはいかない。

一般的には療法食と言えばロイヤルカナンヒルズの2択だ。しかし慢性腸症には手作り食が良いという話もあるし、国内にもたくさん良さそうなメーカーはある。探せば何か見つかるかもしれない。スマホの小さな画面だけでなく、ここは視点を広げるためにも実際の店舗に行ったら何か新しい発見があるかもしれない。

そう思い、今まで実在の店舗に関しては、近場のPETEMOかペットのコジマにしか行ったことがなかったが、もう少し先にあるペットフォレストに足を伸ばして行ってみることにした。

店に到着すると、広い敷地にさまざまなメーカーのゴハンが並んでいた。残念ながら犬用が多かったが、それでも2レーンに渡るネコ用の陳列棚をひとつひとつ、舐めるように見ていった。

店内を3周くらい回ってみたが、残念ながらピンとくるメーカーはなく、初心に戻ってロイヤルカナンヒルズのコーナーに行ってみた。

せめて腸内バイオームやw/dの缶はないか…祈るような気持ちで探したが置いてなかった。コロナ禍と世界情勢の影響で、どこの店も欠品が多いのだ。

ふと足が止まる。見慣れた腸内バイオーム、消化i/d、消化・体重・糖尿病w/dの横に「減量r/d」というフードがある。しかも賞味期限が近いので2割引になっている。

「減量か…」と思ったが、w/dで何となく固まるのだから試す価値はあるかもしれない。

 

そもそもw/dはどうしてi/dより固まるのか。

 

成分を見る限り、食物繊維の多さかもしれない。

であれば、r/dはw/dよりも食物繊維が多いし、脂肪分も糖尿病用のw/dより多いから、ひょっとしたらw/dよりも美味しい上に効果も大きい可能性があるのではないか…。

もうこれ以上、高いフードを無駄にしたくない思いが強かったが最終的に2割引が私の背中を押した。

思い切って500g購入した。

正直なところ、別に今更ものすごい効果なんて期待していなかった。とにかく今日のゴハンを何とかしなければいけないのと、せめて現状維持が出来たら、といったところだった。