onoesanと猫と保育となんやかんや。

おいぼれ猫たちとの日々と、あれやこれや

五十四、抜糸が済んで活気を取り戻した高齢ネコの話。

抜糸までの1週間は、ソルも私もそれは大変だった。

その原因の9割は「エリザベスカラー」だ。

下痢便の子とエリザベスカラーの相性は、煎った銀杏に熱燗ではなくワインを合わせようとするくらい最悪だ。

しかし舐めて欲しくないような患部がある犬猫にとって、なくてはならないモノである。

透明の、エリザベス朝時代に流行した襟の形状にちなんで名付けられたこの装具は、エリマキトカゲ変身グッズとも言うべき可愛らしさを醸しだすものの、ずっと付けていなければならないのは相当なストレスだと思われる。

しかし動物仲間から見ると話は変わってくる。

本人は付けているのが大変なのに、体を大きく見せられるという、動物にとって最も大きな見た目のアドバンテージを獲得することが出来るらしい。

人間がシークレットブーツを履いたところでスタイルを良く見せるだけだが、動物のエリザベスカラーは相手に恐怖を与えることが出来るようなのである。

ただでさえソルのことを快く思っていないルナは、ソルがコレを付けて退院してきた時、本当に腹を立てた様子だった。

ビビリが転じて先制攻撃が止まらない。
執拗に追いかけて攻撃する。

「何付けてんのよ!!ずるいじゃない!すぐに外しなさいよ!キーッ」

ひょっとして彼女も私と同じ更年期?と勘ぐりたくなるイライラぶりだ。
猫パンチも連発する。
いつもおっとりした雰囲気のルナだけれど、ことソルに関しては、シンデレラの義姉ばりの意地の悪さを発揮する。

対してソルは、エリザベスカラーのせいでバランスがうまく取れず、ヨタヨタと力なく逃げ回る。ましてや手術入院で、1週間も小さなケージに入っていたのだ。
衰え方は半端なかった。

完全な劣性状態である。
私はこのままの状態が続くとソルのメンタルがやられてしまうのではないかと心配だった。

しかし、そうこうしてる間に1週間が経った。
術後の経過は順調で、先生からも「もう大丈夫」とお墨付きをもらうことが出来た。
無事に抜糸を済ませ、カラーを外してもらい帰宅した。

するとどうだろう。

復活したのだ。

またしても不死鳥のように甦った。一体、何回甦るつもりなんだろうか。

俄然目つきが変わった。
姿勢も良くなり、歩くスピードも一気に速くなる。食欲も凄まじい。
コレはひょっとしたら形勢逆転か。

勢いにのって怖いもの知らずになった彼は、ルナに近寄ろうとする。

が、ルナからすれば、エリザベスカラーを外したことにより、元の痩せて小さいジイサン猫に戻ったソルなど何も怖くない。

厳しく一喝されて引き下がるのだった。