五十六、老猫に点眼三昧の日々。

五十五、再びエリザベスカラーの老猫 - onoesanと猫と保育となんやかんや。

結石による尿路閉塞のため、膀胱切開の手術をした老猫ソル。

退院して薬漬けの日々を乗り越えて、なんとかエリザベスカラーを外すことに成功した……

………その数日後に、目に潰瘍が出来て、再びエリザベスカラーを付ける羽目になった…。


なんだかんだと1年以上の歳月を密に通い続けたため、先生の様子で重症度がなんとなく察知できた。
片目が開かなくなったソルは、どうやらかなりマズイ状況にあるらしい。

猫の眼に関して「ちょっとしたキズ」と「潰瘍」の違いは、シロウトには判別が難しいことを思い知った。

動物の「気になる様子」の重症度は、本当にわかりにくい。

自分で判断がつかない場合は、面倒がらず、お金を惜しまず、早く診てもらうしか他にないのだった。


検査を終えた先生の表情は固く、

「潰瘍がかなり広がっています。治るか……まずはとにかく角膜治療剤を使って様子を見たいと思います。2、3日後にまた診せてください。エリザベスカラーは……また付けてください。」


家に帰ってググると、角膜穿孔が点眼薬で治らないと「外科的手術が必要」とあった。

概算費用11万円。

先生が固まったわけだ。

ー私が一生懸命診てるのに、このヒトはまた安楽死とか言い出すのではないか……。

そう思っていたのかもしれない。


しかしこちらは切実なのである。

先月の手術〜退院後の現在に至るまで、既に30万は軽くかかっている。

この上、もう一声!の掛け声である。

こうなるともう、自分でもよくわからなくなる。経済感覚を麻痺させなければ、今置かれている状況には対応出来ない。

ここはもうとにかく。
何がなんでも。

点眼だけで治すしかない。

「この、角膜治療剤パピテインを使います。これ、はっきり言ってかなりしみます。その後、5分間空けて抗菌薬を差してください。1日最低でも4回。」

その言葉どおり、パピテインという目薬は相当しみるようだった。

ソルは激しく抵抗した。

その上、次の点眼まで5分空けるとか、日に5、6回とか、なかなかの無理難題に、眼科ナースに配属された気で頑張っていた私もヘトヘトになった。

しかも2日間続けても、ソルの右目は全く開かない。
開かないだけでなく痛い様子だ。


しかし諦めるわけにはいかない。


手術費用の捻出はもとより、痛みを伴う手術となれば、また安楽死問題で悩まなくてはならなくなる。
それだけは願い下げだった。

四十六、生かすべきか、はたまた死か、それが問題だ。 - onoesanと猫と保育となんやかんや。

そうしたわけで、粛々と点眼に勤しむ日々なのだった。