保育園で。みんながみんな、簡単に眠れるわけではないという話。

※これはあくまで私の体験談をベースとした話です。保育方法をはじめとする諸々は保育園によって千差万別です。

勤めている保育園では、昼食後から3時までが午睡の時間と決まっている。

1才くらいまでのお子さまたちは保育士が寝かしつけるが、それ以降は1人で布団に入って寝るのが基本だ。

4才以上であれば、お布団の中で大人しくしていれば寝ても寝なくても構わない。
(眠れないのに、2時間前後ただただ布団の中でじっとしていなければならないというのは、とても気の毒だ。本音を言ってしまえば、カラダのコトは一律にはいかないと思っている。)


みっちゃんは2才になったばかりの女の子だが、とにかくなかなか眠れない。

「おやすみなさい」と元気よくご挨拶して布団に入って寝転んだら、元気よく歌を歌いだす。

当然イエローカードが出る。

「みっちゃん、今は何をする時間?」

困るみっちゃん。
寝る時間であることは知っているのだ。

ギュッと目をつぶる。

でもすぐに飽きる。

小さな声で再び歌い出す。
そのうちに声が徐々に大きくなる。

元通りだ。

「みっちゃん。歌わないよ。寝る時間だよ。」

また注意され、仕方なく歌うことを諦める。

でもやっぱり眠れない。

お隣で眠っているお友だちのホッペをツンツンしてみる。
反応なし。
髪をちょっと引っ張ってみる。

お友だちが、
「う〜ん」
と、声を上げ、先生が気づく。

「みっちゃん、お友だちはもう寝てるの。やめてほしい。」

ちょっと強い声で言われる。

強い声で言われたところで眠れない。

眠れないからヒマだ。

ヒマだけど歌ってはいけないので喋ってみる。

「ママとお買い物行ったの。バナナ、買ったの。牛乳も、買ったの。」

いよいよ先生が立ち上がった。

ズルズルと、お布団ごとみっちゃんを離れたスペースに運ぶ。

先生が、凄む。

「ね、ま、す。」



困り果てたみっちゃん。

とてつもない大声で叫ぶ。

「寝たいでーす!」

何度も。

「寝たいでーす!」

眠っているお友だちのカラダが、声に驚いてビクンビクンと波打つ。

焦る保育士。

とうとう1人起きてしまったくらいのタイミングで、今日もようやくスースーと寝息を立てはじめるみっちゃん。

みっちゃんは頑張っている。

眠りにつくのって本当にムズカシイ。