ソル(オス猫15才)が「肥大型心筋症」と診断されてから、初めて知るこの病名を検索すればするほど、なんてこった…という気持ちは増す一方である。
長年、獣医師をしているような先生ですら、この病気の最期は辛過ぎて泣いてしまうとか書いてあるし…。
進行すると動脈に血栓が詰まってしまい、その時の激しい痛みには安楽死が推奨されるとか書いてあるし…。
そもそもこの病気になったら海外では安楽死させる場合が多いとか…。
「そんなのケースバイケースですよ!」
という答えだけを期待して、かかりつけの先生に、こんなことが書いてあったんですよね(こんなデマがね…)と言ってみたが、否定してくれなかった。
むしろ、そうなんです…という雰囲気を醸されてしまった。
鎮痛剤とか麻酔とかないんですか?と聞いたら、血栓が脚に飛んだら鎮痛剤などを凌駕する痛みで…と言われてしまった。
ちなみに犬はめったにかからないし、人間も0.2%とか。なのに、猫だけ10%以上。
こんなにプヨプヨの肉球を持つ生き物に、なにしてくれんのか。
結局、調べれば調べるほど、この病気になってしまったら、どう転んでも穏やかな看取りは出来ません…ということのようだった。
穏やかな看取りこそ、実家からこの子を引き取ってから1年半、はっきり言ったら目標というか、テーマ、というか。
1番望んできたことなのに。
あんなに、コロリとラクにいくんだよって何度も言い含めておいたのに。
美味しい猫缶がまだ残っているという話はちゃんと聞いてくれていたみたいなのに…。
保育園のお子さまたちに、何かやめてもらいたいことがある時には「ダメ」とか「やめなさい」ではなく、アイメッセージで伝えている。
アイメッセージ、すなわち、私的には"情に訴える作戦"だ。
「そんなことされたら先生は悲しい…」
とか、
「先生はとってもイヤだったんだ…」
とか。
そうすると優しいお子さまたちは、つぶらな瞳でじっと見て、しばし(多分)考えてくれる。
優しいソルにも、そうやって何度も伝えてきたけれど、そもそも猫缶は知ってるけど死ぬことなんて知らないものね。無茶なこと言ってたね。
※※※※※
9日
夕方から食欲がなくなる。
夜半、大量に吐く。
10日
病院へ。
レントゲンにて肥大型心筋症と診断される。
夕方から利尿剤スタート。
11、12、13、14、15日
利尿剤が効く。
診断前とまるで変わらないくらい元気に。
16、17日
16日の夕方から急変。
17日は絶食。一度の排尿の他は寝返りのみ。
18、19、20日
18日の明け方にいきなり復活。
猫缶をせがみ、ガツガツと食べる。
いつもと変わらないくらい元気に。
21日
深夜2時頃から急変。
絶食。水も飲めず。動かず。
呼吸が激しく、かなり辛そうに。
22日
明け方に起き、ペーストを口にする。
7時を過ぎたあたりに復活。
猫缶を一缶平らげ、やつれた姿ながら、ちょうだいちょうだいをし、昼過ぎには更にもう一缶を完食する。
※※※※※
1日も長くそばにいて、なんてもう望まない。
奇しくも21日の急変前、20日のうちに、猫缶はすべて味見を済ませ、気に入ったものは完食しておかわりまでしている。
思い残すことなんてないよ。
まだルナがなんとか頑張ってくれているから大丈夫。お母さんのことは心配ご無用。
ウチの子は苦しまなかった、そんな子もいるよって、いつか、今の私みたいに、そんな記事を必死に探していて、もしかしたらたどり着くかもしれない誰かのためにも、今くらいの辛さでもうおしまいにしておこうよ。
猫缶食べてゴロゴロ言ってる場合じゃないんだけど…。
ああ。愛猫が再びガツガツと、喉を鳴らして猫缶を食べている。
この感慨、じんわりとした幸福感、一体何度目だろう…。
昨日のあの様子からして、さすがに今日は復活せずにこのまま寝込むだろうと思っていたよ。
こんなに小さくっても、死ぬのって本当にラクじゃないんだね。
体力つけて備えておかなきゃって思ってしまった。
小さな体でいろいろ教えてくれてありがとう。