保育園で。0才さんたちの保育園のお昼ご飯。

※これはあくまで私の体験談をベースとした話です。保育方法をはじめとする諸々は保育園によって千差万別です。

秋もすっかり深くなり、ほとんどの子が1才になったので、トッターから椅子に移行した子もチラホラ出てきたところだ。
園による違いは大きいと思うが、私が通う園の0才さんたちの食事の流れはこうだ。

まず、園庭で遊んでいる、食事に入って欲しい子の耳元で「ご飯食べに行く?」と、そっと囁く。

なぜ耳元で囁くかというと、お子さんたちが一気に来ると対応出来ないし、体力的に持たない子は食事中に眠くなってしまわないように、体力のある子はたくさん遊んで午睡がしっかりとれるように、その日の体調も見て順番を考えるので、その子だけに聞こえるように聞くことが肝心なのだ。

この声がけに対し、まだ遊んでいたい子は大抵知らん顔をする。もしくは首を振って逃げる。

ここでもう一押ししたい時は「今日のメニューは何かな〜?パンかな?にんじんあるかな〜?」など、その子の好きなものを言ってみたり、食べる仕草をしたり。
それでも気持ちが向かないお子さんは機会を改めることにしてターゲットを変更する。
(とは言え、保育園の食事はメニューも多いし、こぼそうが落とそうが、基本的にできることは自分でやれるため楽しいということもあるのか、耳元で囁かれた時点ですぐに食事に向かおうとする子が多い。)

そうして無事にお部屋に連れ込めたら、着替え、排泄、手洗いを済ませていざお席へ。

席に着いたらエプロンをつけてご挨拶をして食事スタートだ。
スプーンなどの食具を使ってお子様の口に保育士が運ぶのは、大体まだハイハイも覚束ないような月齢の子で、伝い歩きをするようになる頃には小皿に少しずつ盛られたものを指でつまんで自分で食べる。
みんな、指を懸命に使って食べる。
コップや汁椀も両手で本人に持ってもらったら、最低限の支えだけをするようにして自分でやってもらうようにする。
すると案外早く1人で出来るようになる。

口に詰め込み過ぎる子には少しずつ盛って、皿が空になってから足したり、噛まない子にはマスクを外して噛む様子を目の前でやってみせたり。
好き嫌いがある子には、ほんの少しだけ盛って促してみたり、好きなもののスキをつくように、この時はスプーンで口に運んで味を確めてもらったり、はたまた他の子が食べている様子を見てもらったりする。

途中、何でも落としてみたいお年頃の皆さまなので当然、皿を落としたりコップを落としてみたりもする。
そんな時は皿をはっしと押さえつつ、食べることに集中してもらえるよう興味点を食に戻すべく「にんじん、おいしい?」など話しかけたり、いったん食器を撤退させたりする。

トッターから立ち上がろうとする子、椅子から離れて歩こうとする子には、「ダメ」とか「歩かないよ!」と否定の言葉で注意せずに「すわる」「座ろうね」などの言葉をゆっくりと伝えて、物理的に(トッターの背もたれにクッションを挟み込んだり、椅子の後ろに座って椅子が引けないようにするなど)立ったり歩いたりの行動がとれないようにする。

ひとしきり食べた頃にはトッターやテーブル、そして床の上も服も、もちろん両手両足もとんでもないことになる場合が多い。
米や麺が辺り一面に散乱する日もあれば、スープやお茶でビショビショになる日もある。まぁはっきり言って毎日だ。

ある程度満たされるとユラユラと舟を漕ぎ出す子もいれば、ご飯食べたし眠たしで辛くなって泣き出す子もいれば、1歳にして「さ、終わりにするか」と手を合わせて自らエプロン を外しにかかる子もいる。「おばちゃん、お愛想!」などと言い出しそうな雰囲気である。

最後にお茶を飲んでもらったらエプロン を外して着替えをして終了、お子さんたちは午睡の時間で夢の中、職員は食事の後片付けはもちろん、雑務をやっつける時間の始まり、となる。

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仕事でクタクタな上に保育園の準備ってとても大変だと思うが、この、保育園のお昼ご飯って本当にすごいなと思う。

1番は栄養バランスで、こんなにたくさんの食材を使って品数も多い離乳食を、ワンパターンになることもなく家で毎日用意することははっきり言って不可能だ。
しかも月齢や歯の生え具合などはもちろんのこと、時には個々の嗜好にも寄り添い、食材の茹で具合や切り方、提供の仕方を工夫してもらえる。しかもしかも3時には手作りおやつも提供される。

平日に手の込んだモノなど作るのは不可能でも、昼にまともに食べていると思える安心感!手抜きOKと思えるハズ。

次に食べ方。
仕事が終わって、お迎えして、ヘロヘロになりながら晩御飯の支度その他をしたあげく、やりたい放題で食べられたら泣きたくなる。
平日に悲劇的な散らかりは絶対に回避したい。
さらに、作った料理は平らげて欲しいしこぼして欲しくないのも当然だ。下手に頑張って用意した挙句に全部残されたら恨み言の一つも言いたくなり、なぜかその恨みは言葉を理解できるパパに向かいがちだ。

でも昼間、保育園で伸び伸びと食べていると思えば、ここはチャッチャと済まさせてもらうよ、と罪悪感を抱かずに簡単に済ませることが出来る。

加えて食にまつわる相談がいつでも出来ることや、食が細いお子さんが周りにつられて食べるようになる現象もよくあり、これまたありがたいだろう。

そんなわけで今日も、めざせ完食!めざせおかわり!の日々を送っている。

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それでも。

食体験、食の場体験、栄養を摂取するという意味では大きな価値がある保育園のお昼ごはんではあるけれど。

ワンパターンでもレトルトでも、幸せな気持ちで安心して食べているなら、それが一番!!とも思っている。