※これはあくまで私の体験談をベースとした話です。保育方法をはじめとする諸々は保育園によって千差万別です。
保育園で働き始める前は、主に大人の男性に囲まれて働いてきた。
そんな私にとって、そこはまるで異世界のようだった。
かれこれ結構な年数が経過した今、時折1年目を振り返る。
思い起こすと、精神的なイロイロはどんな職場にもつきものだから置いておくとして、身体的なイロイロは、まさに洗礼を受けたようなものだった。
まず病気。
0才のお子さまたちはとにかく病気にかかりやすい。
それをもれなくプレゼントされる。
1年目は、ただの風邪はもちろん、溶連菌、インフルエンザ、胃腸炎……などなど、さまざまな病気にかかった。
その一方で、欠勤すると周囲の負担がストレートに増すが、かといって風邪などを押して出勤することは小さなお子さま相手に許されないため、体調管理にはかなり気を遣わざるを得なくなった。
雇用の調整弁であるパートが多用されるような職場は、その性質上、誰もが休みを取りづらい。
そして休みを取りづらい職場というのは働きづらく、体調を崩しがち…という負のループがそこにはあった。
そんなわけで、1年目は色々な病気に見舞われたが、責任感からか週末や休みの日に倒れがちだった。
ただ、自分は何とかなっても子どもや家族の病気もあり、常に気が気ではない日々だった。
次に、病気ではないが故障や不具合。
オーソドックスな腰痛はもちろんのこと、膝も首もかなり酷使して痛めた。
腱鞘炎も通る道だ。
手首にガングリオンも出来た(自然軽快した)。
0才のお子さまたちと一緒にハイハイしたり、部屋を床拭きしたり、膝立ちになることも多いので膝は真っ黒に黒ずんだ。
もう人様には絶対に生膝を見せられない。
見せる必要がない年代で助かった。
そして夏場の過酷な肉体労働、日焼け。
夏場の乳児担当の保育士の仕事は過酷だ。
お子さまたちの水分補給をはじめとする体調管理に細心の注意を払いながら、酷暑の中、温度を見ながら用意したタライの中の水を、何度も何度も洗っては入れ替える。
着替えも移動も1人で出来ない。
でも10キロを超えるお子さまもいる。
当然抱っこしては降ろすことを繰り返さなければならない。
移動が出来たら出来たで、望む方向に移動してくれるわけもなく、まったく目が離せない。
その間も当然、まだ遊びたかった!とか、眠い!ハラヘッタ!とか、色々な思いがあって大泣きするお子さまたちである。
もう、滝汗とはこのことで、首に巻いたタオルは余裕で絞れる(そして今はこんな状態でさらにマスクを着用していなければならない)。
水分補給する間もないが、自分が熱中症で倒れると大迷惑なので何とか合間を見計らって水を飲む。
帽子をかぶりたがらないお子さまたちに、あの手この手で帽子をかぶってもらっても、自分の帽子には触ることすらできない日も多い。
こんな状況だと日焼けしたくない、なんてもう全然言っていられない。
1年間で、会社勤め時代の5年分は軽々超える量の紫外線を浴びた。
それでも雨で室内遊びになって、消化不良でお昼寝に入るのが難しくなるよりは、紫外線にさらされようが晴れてくれた方がずっと、ずーーっとありがたいのだ。
で、今。
感染症の類にはめっきりかからなくなった。
どうやら免疫がついたらしい。
膝の黒ずみや日焼けは止まらない。
でも関節痛で起き上がれないということもなくなった。
1年目で体が耐性をつけたような気がする。
言わば試運転の調整状態だったのかもしれない。
大変だったけど、鍛えてくれた赤ちゃんセンパイたちにありがとうなのだった。