最近、物忘れがとても増えた。
そのおかげで家の中ではラッキーな出来事が目白押しだ。
やった記憶がまるでない家事が済んでいる。
シンクにたまった洗い物が忽然と消えていたり、お風呂を洗おうと思って風呂場に行くと、すでに洗ってあったり。
やれやれゴミを捨てなくてはと、ゴミ袋を取り出してゴミ箱に向かうと、既に新しい袋がかかっていたり。
もう素直に嬉しい。ウハウハな日々である。
え?なにこれ?ちょっと待って!怖いんだけど…と、思わないこともない。
けど、いい。
全然、いい。
数分前の自分に感謝してガッツポーズをする。
ーいくらなんでも忘れるのが早過ぎるのではないか。
確かにそれは気になっていた。
そしてムスコの、
「また忘れたの?」
という言葉には結構傷ついている。
ヒトよりも寝るのがヘタクソになった20年くらい前から、ヒトよりも早く脳の劣化が進んでしまっているのかもしれない。
で、ここのところ目に余るようになってきたから、面倒くさがらずにメモを取ろうと思ってます。
出来る社会人になるためでもなければ、クリエイターだから思考を整理したいとかでもなく。
物忘れがひどいので。
家の外では気が張っているからか、今のところご迷惑をかけずに済んでいる。多分。
とにかく人様に、お互いさま以上の迷惑はかけない。(身内に関しては、持ちつ持たれつ。)
もうこれからは、このラインだけキープできれば良いと思っている。
家の中ではもう記憶しない。
短期記憶は手放します。
そう思うと最高に気が楽になった。断捨離みたいにすっきりとした心境だ。
今までは、例えば2階に上がる。
上がると何をしに上がったのか忘れている。とりあえず目についたことを、コレじゃないよな…とモヤモヤしながらやる。
モヤモヤしたまま下に降りる。降りると思い出す。再び上に上がる。上がると…(繰り返し)。
何かが思い出せない時には、そのままにしないで、人に聞いたり調べても良いから思い出すことこそが良く、その頑張りこそが記憶力の低下を防ぐ…と前にテレビでやっていた。
だから今まで、芸能人の名前とか幼稚園の頃の同級生とか、喉まででかかっているやつを一生懸命思い出していた。
スマホや家族の助けが得られる時は良い。
でも自分の心の中の呟きは、なかなか外に手がかりを求められない。
一瞬のうちに脳のマリアナ海溝に沈んで、深海の底に沈殿してしまう。
そうなると、あーあ、自分ダメだなって思ってしまう。
これ。
これが目下、いちばん良くないのだ。
自分ダメだなって、そのたびに落ち込む自分もかわいそうじゃないですか?
だって普通に生きてたら(アルコール摂取量は若干多めだったかもしれない)脳が劣化しちゃっただけだもの。
かわいそうなだけなら良い。
だけど落ち込むのは良くない。
だからもう、短期記憶って何それ?あー、私それ最初から持ってないんだよね…ということにして、メモを取ったり、終わるまでブツブツと呟き続ける。
階段を登る前に、謙虚にメモる。
うっかりよそ見をして何かを閃くとまずいので、目線は動かさない。
これにより私の脳は、分不相応に働かされることにより劣等感を抱くということから回避できた。
もうこれで良い。
長期記憶にしなければならない重要事項だけは海馬にキチンと学習させるべく、繰り返して覚える。
こんな感じで私の物忘れは一応の解決を見たのだった。
でも。
今朝は急須にカリカリを入れてしまった。
これは"うっかり"だからまた別のジャンルである。
"うっかり"はどうしよう。"うっかり"も増えているのだ。
"うっかり"は大きなトラブルへの導火線にならないようにしたい。
家の外ではもちろん"うっかり"は全面禁止。
中においては、大きな事故につながる可能性のあるところは禁止。
ガスを扱う時、猫の薬の種類、戸締りなど。
先ほどのような、カリカリの入った急須にお湯を注いだ場合。これは大事故につながらない。
つながらない上に、不味すぎるからもう絶対に気をつけようと思える。これは良い。
子供のズボンを間違えて履いてしまった。太もものところが少し伸びてしまったから申し訳ないけれど、なんか今日はちょっとパツパツだなと感じる程度。これも良い。
大目に見ることができる"うっかり"は大目に見よう。
物忘れと"うっかり"に関して自分を甘やかすことにしたのには理由がある。
私は現在、愛猫の介護のために、ヘタクソな睡眠がさらにヘタクソになっている。
だからなのか最近、どうも気分が落ち込み気味な上、気持ちの波が激しく、難破しないように航海するのに必死な状態だ。
産後と同じく、更年期も鬱とご近所関係にある。
仕事柄、産後鬱になってしまった人と関わることがあるし、今も関わらせて頂いている。
正直なところ、物忘れやうっかりなんて、鬱の辛さに比べたらもう全然大したことではない。
だから、そうしたことで自分を責めて、この調子の悪い時にうっかり鬱の引き金を引くなんてコトがないようにしたい。
とりあえず更年期が終わるまでは、ウハウハなところだけを美味しく味わおうと思っている。