実家に住む姉が、何度目かの断捨離をした。
先週、
「いらない漫画を持っていってもらうから、テキトーに処分しちゃって。」
と、LINEに姉からのメッセージが入っていた。
義兄が、近くに来るついでに持って来てくれるという。
姉は家の片付けをして処分したい本が出ると、
「読みたいのがあればあげるよ。あとは処分して。」
と、いつもドサドサとくれる。
今回はそれの漫画バージョンらしい。
ちょうど夏休みに入ったところであるし、姉自身の漫画は前回の断捨離で大量に処分したばかりなので、てっきり甥っ子が読んでいた漫画をウチの息子にどう?ということなのだろうなと思っていた。
そして週末。
ちょうど両手に抱えられるサイズのコンテナ3つに入った数百冊の漫画が我が家に運び込まれたのだった。
和室に運び込まれたままの状態だったのを、昨日になって中身を確認し、少なからずショックを受けた。
ショックなのは主にここ↓
「お姉ちゃん…、それはないよ…」
思わず小さな頃の自分が登場してしまったのだった。
先日の断捨離でも、パタリロ全巻をはじめとする大量の愛読本の数々を処分するという離れ業に打って出た姉が、今回、私を驚愕させる漫画の数々を放出した。
これを放出したということは、今、実家で生き延びた本はどれなのか気になる。新井素子は、氷室冴子は・・・文庫は無事だろうか。木原敏江のアンジェリクが見当たらないのが逆に不安。それからそれから・・・。
すぐに姉に連絡する。花の24年組や大和和紀のヨコハマ物語などなど、捨てるなんてあり得ないよ、取っておいてと説得してみたが、もう場所がないと言われてしまった。
実家は建て替えの時に壁をいくつも丸ごと本棚にしていた。そんなはずはない。
しかし実際にスペースはないのだという。
オタクな姉が、更に純度の高いオタクに育て上げた甥と姪の新時代のオタク本たちが着々と本棚を占領し始めたらしい。
紙媒体は今の時代、減る一方じゃなかったのか。
少女時代、母の手により2度にわたって断行された、血も涙もない漫画一斉処分事件の折には共に悲しみを分かち合ったのに。
あの時に処分された数百冊の名作を思うと、いまだに泣きたくなるのに。
今回は私が処分役だなんて。
昔聴いていた音楽は、その当時の記憶をありありと、まざまざと、そして次々と思い出させてくれる。
匂いや、懐かしい人たちの顔まで浮かんでくるし、その時それを聴いていた自分の心情も、長い時間が経っているのにくっきりと浮かび上がってくる。
一方で本というのは、懐かしさとともにまったく新しい世界をここに新たに立ち上げてくれる感じがする。
すっかり日焼けして黄ばんでしまった懐かしいページをめくったら、あっという間に引き込まれた。
そして昔読んだ時には脇役でしかなかった登場人物たちの気持ちにまで思いが及んで、思いもよらないページで泣けた。
どこに仮置きするかが悩ましいけれど、この愛おしい、幼い頃の大事な相棒たちを捨てるのは少しだけ遅らせて、この夏は何十年ぶりかで懐かしい登場人物たちに会いに行くのだ。