1人去って1人現れた。みんチャレが続いている。

「1日1回、何でも良いので運動をする。」

というコンセプトの"みんチャレ"アプリのチームに入って、もうすぐ半年が経つ。

50代の中にあって唯一の10代だったJKのミカちゃんは、

「生徒会に立候補することに決めたため選挙活動が忙しくなる」

という理由で、残念ながら退出してしまった。

悲しかったけれど、きちんとお別れの挨拶をしてくれたミカちゃんが無事に生徒会役員に選ばれることを祈って見送ったのだった。

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ミカちゃんの退室によって空いた一枠は、新しい人が入っては抜けるを繰り返し、定着する人がなかなか現れなかった。

そんな中、高校3年生の現役の男子高校生が入ってきた(どうでも良いけれど、男子高校生はDKというのでしょうか…)

戦国武将好きなのか、はたまた大河ドラマにはまっているのか井伊忠勝というハンドルネームで、ご丁寧に志望大学と学部学科まで発表、受験を控えて部活を引退したので、体がなまらないように参加を決めたと自己紹介してくれた。

オバサンたちはモジモジしながらも、一気に舞い上がった。

ミカちゃんの時以上に、腰や膝が痛む話、趣味の俳句や登山の話を慎むようになった。

いいね!や、頑張って!のスタンプも、全体的にいつもより可愛いらしい種類が選ばれるようになった。

もちろん私も、さりげなく可愛いスタンプを送った。

多分、全員がさりげなく送った結果、あからさまにDK忠勝がきちんとノルマをこなした日だけ、送られるスタンプの数が多くなった。

しかし結局、忠勝は10日と持たず、あっけなく脱落してしまったのだった。

もしかしたらプロフィールを確認して皆の年代を知ってやる気が出なくなったのかもしれないし、そもそも続けることが苦手なタイプだったのかもしれない。

挨拶すらせずに彼は去り、それによって否応なくチームの士気はまた下がったのだった。

しかし最近、ひさしぶりに定着しそうな人が現れた。

出戻りの、ハンドルネーム、ナシゴレンさんである。

ナシゴレンさんは、1年以上前にこのチームに参加したものの、ご家庭の事情で退出。

しかしその後、たとえ少しであれ、日々体を動かすことはやはり大事であったと再認識し、再び舞い戻ってきたとのことだった。

かつてこのチームに入っていたナシゴレンさんを知る人は、もはやたった1人を残すのみだったが、奇跡の再会を二人は喜んでいた。

ICT時代は、人との出会いや別れにドラマ性がなくなると思っていたけれど、現実社会で知り得ない人とのつながりは、ある日突然一方が回路を切断したらそれっきりという刹那的な関係だ。

そんな中でまた交流ができたなら、それは確かに奇跡のように嬉しいかもしれない。

ナシゴレンさんは70代の女性だった。

「今日も1日楽しく頑張りましょう!」

というメッセージを毎朝送ってくれる。

ノルマをこなせばすぐに、「やったね!」とか、「その調子!」とスタンプを返してくれる。

サボれば「あきらめるのはまだ早い!」とか、「待ってるよ!」などのメッセージ。

そのうち誰かがひさしぶりに「今日は膝が痛くて…」と書いたら、ナシゴレンさんはすぐに「膝が痛いなら二の腕を動かしたら?」と送信してきた。

「今日は買い物でたくさん歩いたので、それでヨシとします。」と書いたら、

「たくさん歩くのは良いことよ。でもその後に筋トレしたらもっと最高!」と送信されてくる。

「実は近々、ヘルニアの手術を控えていて…」

「私も同じところ、やってるわよ。大丈夫。今はこんなに元気だから!」

抗がん剤の治療の影響で、体がしんどくて…」

「前向きに楽しみを見つけることが一番ね!」

「最近、足がしびれる感じが増えて…」

「朝はね~。徐々に体を慣らすこと。行動、行動!!」

一世代上の見知らぬ先輩の言葉は、なぜか素直に聞ける上に不思議と安心感をもたらしてくれるのだった。

10代のミカちゃんは、今日を全力で生きることを思い出させてくれたし、70代のナシゴレンさんは、色々あっても人生は前向きに生きた方がいいよと励ましてくれる。

弊害が多いネット社会ではあるけれど、通りすがりのような気楽な関係性の中にあって、ご褒美のように面白い出会いがコロコロと転がっているのもまたネットならではだなとも思ったりするこの頃なのだった。