老眼鏡を買いに行く

起き抜け、夜、それに薄暗いところ。


スマホや本が見にくくなってから数年は経っただろうか。


本日、とうとう老眼鏡を購入した。



購入に踏み切るまでには、


老眼鏡をかける自分のことが受け入れられない


とか、


買うのに検査が必要だし、レンズやらフレーム選びやらでボチボチ時間がかかりそう


とか、


なくても何とか生活できているのに、ひとたび手に入れてしまうと、それなしでは生きていけなくなってしまいそうでイヤだ


とか、


お金がすごくかかったらショックが大きい


とか、


そもそもメガネ屋さんに行くことが面倒くさい…


など、特に一番最後のナマケモノ心があまりにも大きくて結構時間がかかった。



しかし、今日は行く気になった。


昨日セブンイレブンに行ったから。


セブンイレブンで、手に取った袋菓子の裏の成分表が腕を精一杯伸ばしても見えなかったから。


商品の裏側を前にして、さりげなく元の棚に戻し、遠くに立って初めて読めた。


あっても良いかもしれない…そう思ったのだった。



調べてみると、よく行く駅ビルの中にメガネ屋さんは4件もあった。


そういうルールでもあるのか、下の階ほど量販店っぽく、上に行くほど明らかにお高そうな店構えだった。


ネットの口コミが良くて、持っているカードで割引率の大きかった、1番下の階にある全国チェーンの量販店に行く。


店に入るとすぐに、副店長のプレートを付けた40才前後の女性の店員さんが声をかけてくれた。


「老眼鏡が欲しいんですけど」


と言うと、そこから急にお母さんのような雰囲気のタメ口になった。


どうやら老眼鏡購入=お年寄り、ということでお年寄り対応モードにスイッチを切り替えたようだった。


ものすごくゆっくりと、子供に諭すような口調で説明をしてくれる。


内心、この対応は一般的には70代後半あたりではないかな…もう少し細かく切り替えていかないと反感を覚える人もいるのではないだろうか、と少し気になる。


しかし、最近ではもう放牧されっぱなしの牛のように、と言うと牛に失礼なくらい、だらけきった私の脳にはとても楽チンだった。


だからそのまま、ハイ、ハイ、と従順に返事をしながら、割とデキるおばあちゃんとして、LINEの登録とか視力検査などをたくさん褒めてもらいながら進めた。


その後「しばらく手続きなどをするので、1人で店内を好きに見ながら待っててね」と言うので、店内をグルグル巡りながらメガネをかけまくった。


そうしているうちに、小学生の頃「Dr.スランプ アラレちゃん」が大好きで、アラレちゃんに憧れて誕生日に伊達メガネまで買ってもらったことを思い出したのだった。


そうだ!メガネ、ずっと憧れてたんだった。


思い出したらもう、ウキウキわくわくが止まらない。夢中で片っ端から試してみる。


ところが副店長さんは、マニュアル重視型なのか、私の醸し出しているウキウキわくわくオーラにはまったく気付かず、相変わらず、老眼鏡=老化=お客さまは凹みがち、という接客スタンスを貫き「いずれ皆さん、必ず悪くなるものだから気にしないでね…」と、繰り返し励ましてくれるのだった。


そんな優しい副店長さんのアドバイスはとても的確で、流行りに疎い私にはありがたく、似合うフレームタイプ、色などのアドバイスもたくさんしてもらえた。


この中から選べば間違いないというメガネを何十本も出してくれた。


ありがとう。


次の購入機会には、このアドバイスを必ず役立てたいと思います。


感謝しつつ、お勧めのメガネとは対極の、流行りとは無縁らしき、黒くてデカくてまんまるのアラレちゃんそっくりのメガネを購入して、大満足で帰途に着いたのだった。