たかが呼び方、なのだけれど。

ブログを始めて家族のこともボチボチ書くようになってからというもの、書きながら違和感を感じている言葉がある。


ズバリ"主人"だ。


他の方の記事を読んでいる時は、内容に意識が向いているため、どの方がどのような呼称を使っているかまでは思い出せない。


けれど大体、女性の場合は"夫"、"主人"、"旦那さん"など。


男性の場合は"妻"、"奥さん"、"嫁"、少し上の世代で"家内"といった感じ。


あとは男女ともに、"パートナー"とか。愛称で書かれている方もいる。


"パートナー"は性別もイメージさせないので今の時代にピッタリでとてもいいなと思うけれど、自分の口から違和感なくスルッと出てくるようになる日が来るだろうか。


現時点では想像もつかないけれど、会話の中で自然に出てくるようになる日が来れば良いなと思う。


"夫"というのが1番使いやすそうなのだけれど、距離的なところがどうも違う感じがして照れ臭い。


それでものすごく違和感を感じているのに他に思いつかなくて"主人"と書いている。


こんなに違和感を感じるようになったのは最近のことだ。


多分、社会の潮流を受けてというのもあるだろうけれど、ブログを書くようになったことが大きな理由だと思う。


漢字の"主人"は、話し言葉の何倍ものインパクトで違和感を醸してくる。


私はじゃあ、主人のなんなの?と。


主従関係という言葉を連想してしまう。


でも、かと言って"夫"じゃないんだよな。どう書けばしっくりくるんだろう。


ほんの50年前は、この表記どおりの関係性こそが社会的な規範だった。


そうした時代の価値観に照らした場合にほぼ完璧な、平岩弓枝的世界観の母親に育てられて今の私がいる。


だから最近、多様性の時代と言われながらもまだまだ未成熟な社会の中で、頭の中で様々な価値観がグチャグチャに入り混じってしまい、なんだか大混乱している。


例えば私の地元には、いまだに"婦人会"という名前の組織がある。


各世帯が半強制的に加入しなければならず、持ち回りで町内のあらゆる雑用を担う活動をしている。


また義実家の地方では、私と同世代の親族が、女の子は無理をして勉強する必要はない、とか、女は子供を産んで一人前などという会話をごく普通に交わす現実がある。


かたや、自分の交流範囲。
子供ありきで付き合いが始まった人を除けば、独身や子供がいない人の方がむしろ多いくらい。


50年生きると、社会があらゆる面で目まぐるしいスピードで変わっていくのがわかってすごいなと思う。いつの時代もそうなのだろうか。


たかが呼び方、されど呼び方で、そんなことを考えていたら、たまたま行ったホームセンターで、近くにいたご夫婦からこんな会話が聞こえてきた。


「ちょっと主人〜!なにしてんの!?さっさとコレ持ってよ!」


全然知らなかった。


最近はこんな風に使ったりするの?


"主人"という言葉が、"御前"="おまえ"みたいな感じで軽くなってる?


そう言えば以前、ママ友がふざけた感じで、


「お〜い、主人!車出して!」


と呼んでいたのを思い出した。


もし世間の方で"主人"という言葉が持つ重さみたいなものを自然に削って形骸化してくれるなら、そのうち何の違和感も感じなくなるかもしれない。


でも「主人〜!」と呼びかけるのは、"主人"と書くよりも、今のところ、はるかにハードルが高い。


どうでもいいと言われれば、ほんとどうでもいいのだけれど、やっぱり、しっくりくる呼び方がないかなあ…と思う今日この頃なのだった。