みんな1人部屋になったという話。

世間的には相当出遅れた。


が、先週末、とうとう中学1年生の息子に1人部屋を与えたのだった。


息子が骨折したことで、学校生活を垣間見る機会ができ、もはや父親の隣でくっついて寝ている場合ではないことに遅まきながら気づいたからだ。

週末は部屋を引っ越すことに決めたという話。 - onoesanと猫と保育となんやかんや。


うっかりしていたが、息子が1人部屋に移るということは、同時に主人も1人部屋になるということだった。


息子にいいかげん1人部屋を、という私の提案に対して、主人はわかりやすく乗り気でなかった。


淋しいのだ。


子煩悩で過干渉気味なのでムリもない。


あまりにも淋し気にするので、


「もしかして、こうも淋しいのでは私が戻らないといけなくなるかも。あー、でも寝室にネコは出入り禁止って言うし、また夜中に起こされるのは勘弁して欲しい…」


と内心、気が重くなったのだった。


主人は、家族(私と息子)が船内で襲われ、それを守るためにデッキで命懸けで戦う、という夢を定期的に見る。


その時に必ず戦いの雄叫びをあげる。


「ヒ〜〜〜、キエ〜〜〜!」


と絶叫しながら手を天井に向かって高々と挙げ、
大声でさんざん叫んだ挙句、突然、パタリと手を下ろし沈黙する。


ここで敵にやられたことがわかる。


息の根を止められて、そのまま寝てくれたら良いのだが、そこからさめざめと泣き出す。


敵にヤられたのが悔しいのか、ワタシとムスコがヤられて悲しいのか。
気持ちはありがたい。おとーさん、我々のためにありがとう。けれど最終的にはいつも、


「おとーさん!うるさい!私たちは無事だから。大丈夫だから!とにかく一回起きろ!」


と、たまらなくなって揺すって起こす。


幸い、ムスコは眠りが深いので、この戦いで起こされたことが2回しかない。鼻をつまんだら泣き止んだと言っていた。


いよいよ戻らなければならないようなら鼻をつまんでみよう…と覚悟した。


ところが数日経つと、主人がいそいそとDAISOに出かけて行った。


色々買ってきて、1人になった部屋の中で作業している。


寝室の中にカラーボックスや本棚で囲ったせせこましいスペースを作っていた。


その中に入ると落ち着くらしい。


何だか楽しそうだ。


秘密基地でも作っている気分なのだろうか。


ソルは息子のベッドの上で寝ることに決めたらしい。
毎晩、蹴られようが踏まれようがガッツで布団の上にくらいついている。

息子は猫と寝られることが嬉しくて仕方ないようだ。


ルナは、図々しいソルに占拠されがちだった私のベッドで以前のようにゴロゴロ言いながら眠るようになった。


ムスコと私はそれぞれにネコ付きだが、こうして1人1部屋になった。


どうやらそれぞれに幸せな夜である。