ルナ(メス猫15才)の右の前脚が少し痛そうなのが気になって病院に連れて行こうと思った矢先、彼女が起き上がった後の床を見たら水たまりができていた。
しれっと食事を始めた彼女の元へ行くと、毛が濡れている。
15年間一緒に暮らしていて初めてのお漏らしだった。
ちょうど、ソル(オス猫15才)の薬も終わったところだったので、2匹を連れて病院に行った。
いつもなら、2匹一緒に連れていく時というのは、あくまで主役はソル。
ルナの方は、定期検診という名目で甲状腺の薬をもらいに行くだけだ。
だから診察室に入ると先ずはルナをケージから出す。
先生がチャッチャと診てすぐにケージに戻して終了。
で、主役のソルをじっくりと。
ケージから出されたソルは、先生にもスタッフの皆さまからもたくさん撫でられて満足そうにゴロゴロいう。
ところが今回は立場が逆だった。
ケージから先に出されたソルは、体重が1キロ増えたことを確認してもらい、撫でられることもなくケージへ。
みんなの注目はその後完全にルナに集まったのだった。
検査の結果、脚の方は炎症を抑える薬を、おもらしの方は膀胱結石が見つかり、ソルと同じサプリメントを試すことになった。
帰宅すると、久しぶりのルナの病気を心配した主人とムスコが、
「ルナ、どうだった?」
とルナを囲んでソワソワ。
私も日頃はソルにかかりっきりだが、ルナの薬が一気に増えてバタバタとしている。
だからはっきり覚えていないけれど、その日のソルはいつも通りに見えた。
翌日。
ソルが朝からまったく食べなくなってしまった。
偶然なのはわかってる。
けれどこのタイミングが、なんともソルらしいのだった。
1日くらい食欲がないことは今までにもあった。
でも2日目。高級猫缶を半分も残した。
3日目の今日、とうとうニオイを嗅ぐだけになってしまった。
いつものような激しい症状はなく、ただ動くのがつらいようで、こんこんと寝ている。
いつもは胸肉を1枚ペロリと食べる勢いのくせに。
高い猫缶も一瞬で食べてしまうくせに。
ずっと後ろをついてきて、目が合えばちょーだいちょーだいってしつこくおねだりするくせに。
つい3日前まで元気にそうしてたくせに。
もったいないから少しずつ食べてよね…っていつもブチブチ言ってごめん。
全部食べていいからさ。
高い猫缶ばっかり食べちゃって…なんて言ってごめん。
高い猫缶、いくらでも食べて良いから。なんとかするからさ。
なんとかするから、もうもったいないって言わないから安心していっぱい食べて大丈夫だから。
いつもと違うこと言って申し訳ない。勝手でごめん。
でもそこをなんとか。
頼むから。
ここのところ、体重は順調に増えていたし、悪いながらも体調がすっかり安定していたのですっかり気を抜いていた。
遅かれ早かれこうなりますよって言われていたのに。
いつもは「フン!」と塩対応のルナも、久しぶりの主役な感じが良かったのか珍しく私を呼ぶ。
本日。いよいよ夏が牙を剥き出したかのような、突き刺すような熱い日差し。
気を抜いたら夏に食われてしまいそうだ。
老猫たちはいよいよヨレヨレ。
今年の夏、私はへこたれないつもりでいる。
(猫の世話してるだけなんだけれど…。)